カスペの妥協(5)

文字数 1,144文字

アラゴン王の候補者が出そろったので、今回から王が決まるまでの経過を説明します。作品集には下の画像から入ってください。
アラゴン、バレンシア、カタルーニャの議会または政府間の交渉は、新王に関わる様々な利害、貴族の派閥逃走、ウルジェイ伯支持者らの性急ぶり、そしてカスティーリャ王子フェルナンドの軍の干渉などのため、困難を極めた。
ウルジェイ伯ジャウマ2世は父上ペドロ4世の最後の王妃シビラとの間の娘イサベルと結婚しているので私はあんまり好きではありません。
マルティン1世は孫であるファドリケを後継に望んでいたとされるが、庶出であることが問題となった。
弟のマルティンが孫のファドリケが後継者だとはっきり遺言を残していればよかったのです。
息子が自分より先に死んで打ちのめされ、遺言を残す余裕もなかったのだろう。余の兄上アルフォンソ1世などは自分に子がいなかったから、アラゴン王国の土地と財産はすべてテンプル騎士団などの騎士団に寄進するという遺言を残してアラゴンを混乱させた。そして修道院にいた余が担ぎ出されてアラゴン王となった。
遺言さえあれば孫のファドリケがアラゴン王となったかもしれないのですね。
ガンディア公アルフォンソが血統では優位であったが、決定前に死去した。
ガンディア公アルフォンソには子はいなかったのですか?
系図を見るとガンディア公アルフォンソ2世がいるのですが、候補者にはならなかったようです。
その後、マルティン1世に長官職を与えられ厚遇されていたウルジェイ伯ジャウマが本命候補となった。しかし彼はその専制的な政治姿勢が災いし、ジャナラリター・デ・カタルーニャをないがしろにする者と警戒されていた。
ジャナラリター・デ・カタルーニャはカタルーニャ州政府と翻訳されています。始まりはハイメ1世の時代に王が当時の社会階層の代表を招集して面会するものでした。
ハイメ1世は余の1人息子である。
スペイン、ポルトガルではコルテス(コルツ)と呼ばれる身分制議会がありました。僧職、貴族、都市代表の3身分を代表としていました。コルテス成立はレオン王国が1188年、ポルトガル王国が1211年、カスティーリャ王国が1250年、アラゴン王国が1274年、カタルーニャが13世紀末から14世紀初頭でした。
コルテスの機能は、戦費をまかなうため課税に協賛することと、都市は立法に対する請願権を持つこと、王位継承に干渉権を持つことでした。
つまり王位継承は身分制議会も干渉したということですね。
また、ベネディクトゥス13世はイベリア半島へ自身の影響力を伸ばすために、カスティーリャ王子フェルナンディスを押していた。
カスペの妥協にも関わっている教会大分裂の時の対立教皇ベネディクトゥス13世については次回詳しく紹介します。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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