リチャード2世(5)

文字数 2,464文字

リチャード2世についての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
1397年7月、リチャード2世は訴追派貴族3名(ノッティンガム伯・ボリングブルックを除く)をロンドンの宴席へ招待したが、拒否されたことを口実に3人を逮捕、9月の議会で次々と処罰した。グロスター公はフランスのカレーへ監禁された後に暗殺、アランデル伯は死刑、ウォリック伯はマン島へ追放された。議会はリチャード2世がチェシャーから招集した軍隊で威圧され、貴族達はリチャード2世の復讐に恐怖と不信感を抱いた。
うわー!いきなりすごいことをしていますね。
いや、いきなりではない。そのためにフランスとは休戦協定を結んであった。それにリチャード2世は彼らを殺さなければ自分が殺されるというところまで追いつめられていた。
一方、訴追派貴族の分断と自らの基盤を再構築するため、ランカスター公父子とノッティンガム伯らを懐柔し、ボリングブルックは新たにヘレフォード公、ノッティンガム伯はノーフォーク公に叙爵され、ランカスター公も同年に4人の庶子でボリングブルックの異母弟妹に当たる子供(ジョン・ヘンリー・トマス・ジョウン)が嫡出子に格上げされたためリチャード2世に肩入れするようになっていった。
リチャード2世もただ攻撃するだけでなく、懐柔もして味方を増やそうとしたわけですね。
この時貴族として認められたジョンの子孫の1人がヘンリー7世です。
寵臣の補充も行い、自分の2人の異父兄であるケント伯トマス・ホランドとハンティンドン伯ジョン・ホランドを登用、ケント伯が死亡すると同名の息子トマス・ホランドをサリー公、ハンティンドン伯をエクセター公に叙爵して厚遇したが、これは専制の再来を予感させた。
いろいろな名前が出てきてややっこしいですが、ほとんどの側近や貴族はみなリチャード2世と血のつながりがあるわけですよね。
翌1398年1月に開会した議会でリチャード2世は軍事力を背景に議会へ圧力をかけ、開催地をロンドンではなく国王派の地盤に近いシュルーズベリーに変更させた上、非情議会の決定を全て無効と宣言して議会を統制下に置こうとした。さらに前年に優遇した追訴派貴族の残り2名にも処罰を与え、ボリングブルックがノーフォーク公から「国王が自分達を暗殺しようとしている」と告げられたと議会で言いだし、反発したノーフォーク公と対立して互いに反逆罪で訴え決闘寸前まで至った所で中止を命令、2人とも国外追放とした(ノーフォーク公は終身、ボリングブルックは6年)スコットランドと国境を接するイングランド北部にも介入し、ノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーと息子のホットスパーが手にしていた辺境守護職を取り上げ、北部貴族も敵に回した。
イングランドは複雑ですね。私、アラゴン王フアン1世なんて、生涯全部を書いても上の説明より短かったです。
ランカスター公が1399年に死去したのを機会に、ボリングブルックに対して広大なランカスター公領の没収と永久追放への変更を命じた。これにより貴族層の離反は決定的となり、ボリングブルックは復讐の機会を窺った。そのような状況を横目に、5月にリチャード2世はアイルランドへ2度目の遠征を敢行した。1度は服従したゲール人が反乱を起こし、食い止めようとしたマーチ伯が戦死したため、報復と鎮圧の意図があった。
こんな時にアイルランドへ遠征するのは危ないですよね。
そうである。だが、人間は危険な状況にある時ほど、冷静な判断ができなくなる。自分が危険だとは思いたくないから楽観的に考え決定的なミスを犯す。
しかし、7月にボリングブルックが兵を挙げると、ノーサンバランド伯父子とウェストモーランド伯ラルフ・ネヴィルら北部貴族を始め、リチャード2世に失望していた諸侯や有力者の多くがこれに合流、留守を守っていたヨーク公も降伏した。翌8月にアイルランド遠征から帰途にあったリチャード2世は、ウェールズとの国境付近で優勢なボリングブルック軍に呆気なく降伏して捕らわれ、ロンドン塔に幽閉されて9月28日に開かれた議会で翌29日に正式に廃位された。そしてボリングブルックは30日にヘンリー4世としてイングランド王に即位し、ランカスター朝を開いた。
最後はこんなに呆気なかったのですか?
余が父上に対して反乱を起こした時も同じだった。父上は諸侯を懐柔し、余は戦いに負けて降伏し、王位をはく奪されて目を潰され幽閉された。
退位したリチャードは身柄を各地に移され、1400年2月14日にヨーク南西のポンテフラクトにあるポンテクラフト城で33歳で死去した。1月にリチャードに重用され、ヘンリー4世即位と共に権勢を失った元サリー公、元エクセター公、元グロスター伯トマス・ル・ディスペンサー、ソールズベリー伯ジョン・モンタキュートの4人が公現祭でヘンリー4世暗殺を企て、失敗して処刑されていたが、直後にリチャードが死去したこともヘンリー4世の関与が疑われている。
イングランドは本当に怖いですね。リチャード2世だけでなくこうした争いで殺されて恨みを持った亡霊がウヨウヨいるのでしょうね。
フアン1世、我々も亡霊だが・・・
アラゴン王家の亡霊は怖くないですよ。みんなそれぞれ事情があって亡霊になってしまいましたが、一族で激しく争ったり裏切りや殺し合いをしてないから、強い恨みを抱いていないので怖い亡霊ではないです。
僕も最初ラミロ2世の亡霊に会った時は怖かったけど、話をしていく中でどんどん親しくなり尊敬の気持ちを持つようになりました。でもここでいろいろな国の王位をめぐる話を聞いていると、恨みがたくさん残っているようで本当に怖いです。
リチャードの詳しい死因は不明で、前王の尊厳を奪われ、過酷な処遇を受けて餓死させられたと伝えられる一方、自殺・他殺説もある。遺体は当初ハートフォードシャーのキングス・ラングリー修道院へ埋葬されたが、1413年4月に即位したヘンリー5世が12月に遺体をロンドンへ運び出し、ウェストミンスター寺院に改葬した。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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