ベネディクトゥス13世(対立教皇)(1)

文字数 1,632文字

今日はカスペの妥協でカスティーリャ王子フェルナンドを推したベネディクトゥス13世(対立教皇)について紹介します。作品集は下の画像から入ってください。
ベネディクトゥス13世(1328年ー1423年)はカトリック教会の対立教皇(在位1394年ー1417年)アラゴン王国の大貴族ルナ家出身で本名はペドロ・マルティネス・デ・ルナ。アラゴンではエル・パパ・ルナとして知られる。
弟マルティンの妻マリア・デ・ルナもルナ家出身です。
アラゴン、イリュエカで誕生。モンペリエ大学で学び教会法教授となり、グレゴリウス11世に仕え、1375年に枢機卿に任命された。
1378年にウルバヌス6世を選出したコンクラーヴェに出席、初めウルバヌス6世を支持していたが、彼の横暴な態度に我慢できなくなり、教会大分裂が始まった際に対立教皇クレメンス7世を支持してアヴィニョンに残留した。
1378年のコンクラーベの時、後のベネディクトゥス13世は50歳、この時までは順調に出世していました。
ウルバヌス6世はそんなにひどい教皇だったのですか?
ウルバヌス6世が教皇に選ばれる前、ローマ教皇の座が1309年から1377年までローマからアヴィニョンに移されていました。この時期は『教皇のアヴィニョン捕囚』とも呼ばれています。
教皇の座がローマからフランスのアヴィニョンに移されていた、そんな時代もあるのか。
ウルバヌス6世の前の教皇グレゴリウス11世(在位1370年ー1378年)はフランス人で、アヴィニョンで教皇になりましたが、1377年にローマに帰還してアヴィニョン捕囚は終わりました。
ウルバヌス6世(1318ー1389)はナポリ出身、本名はバルトロメーオ・ディ・プリニャーノで平民の子として生まれ、1377年に教皇グレゴリウス11世によりバーリ大司教と教皇庁尚書院長官に任じられました。
同じ1377年にグレゴリウス11世はアヴィニョンからローマに帰還し、翌1378年3月27日に死去しました。4月にローマで行われた教皇選挙では「ローマ人かイタリア人を教皇を」と叫ぶ群衆が選挙会場を取り囲みました。フランス人が多数派の枢機卿らは身の危険を感じる中プリニャーノを選出しました。現在までプリニャーノは、枢機卿団以外から選出された最後の教皇でした。
教皇の座がアヴィニョンからローマに戻った直後の教皇選挙、フランス人の枢機卿は群衆に取り囲まれてイタリア人であるプリニャーノを教皇に選出したわけですね。
ウルバヌス6世は選出後、性急に教会の改革を宣言して高圧的な態度に出た。穏和と分別に欠け、枢機卿達を侮辱したり粗暴で傲慢な教皇の態度に反発したフランス人の枢機卿らは、同年9月にアナーニへ集まり、教皇選挙は脅迫のもと行われたので無効であるとして、フランス王シャルル5世の支援を得てクレメンス7世を新教皇(対立教皇)に選出し、フランス、ナポリ、カスティーリャ、アラゴン、ポルトガル、スコットランドが支持した為、教会大分裂の事態に至った。
ウルバヌス6世みたいな人、現代社会にもたくさんいます。最初は大人しくいい人に見せて味方を増やし、権力を持った途端に豹変するのです。
ウルバヌス6世の性格が悪かったばっかりに、教会大分裂が起きてアラゴンの王位継承にも影響があったということですか?
ウルバヌス6世はローマを固めクレメンス7世をローマへ入らせず(クレメンス7世はアヴィニョンへ退去)、離反した枢機卿達を免職し、新たに29人の枢機卿を補充した。彼には後に聖人となるシヘナのカタリナ、神聖ローマ帝国、イングランド、ハンガリー、北欧諸国の支持があった。
ウルバヌス6世が教皇に選ばれた経緯やその後の態度を考えると、枢機卿達が反発するのも無理はないと思いました。
カスペの妥協でカスティーリャ王子フェルナンドを推したベネディクトゥス13世(対立教皇)の生涯はウルバヌス6世が教皇に選出されて教会大分裂が始まったことで大きく変わってしまいました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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