ヨアキム主義

文字数 1,155文字

ヨアキム主義について話題にします。作品集は下の画像から入ってください。
ヨアキム主義は12世紀のカトリック教会に興った予言的・終末論的な歴史思想である。フィオーレのヨアキムが唱えた。
ヨアキムは生前は特別有名になることもなければ異端として断罪されることもない、修道士としての人生を全うしました。それなのになぜ彼の思想が急速に広まりまた異端とされたのか、その理由を知りたいです。
ヨアキムはエデンの園での人間の堕落の後、神はその埋めあわせのために、歴史に精神原理を導入する必要があると考え、さらに三位一体的構造を世界史に当てはめ、全歴史は三つの時代からなるとした。第一の時代は「父の時代」で、地上においてはイスラエルの民が選ばれた祭司と預言者の時代であり、旧約の時代に当たる。第二の時代は「子の時代」であり、教会の時代で、キリスト以後現在まで続いているとした。これは過渡的な時代であって、1260年ころから始まる「聖霊の時代」によってやがて克服される。この第三の時代において、世界は完成し、地上においては修道士の時代が出来する。ヨアキムの考えでは、第三の時代に置いて聖霊は直接個人個人に語りかけ、現在ある教会秩序や国家などの支配関係に基づく地上的秩序は必要がなくなり、兄弟的連帯において修道士が支配する時代が来るとされる。
ヨアキムの死後、なぜ彼の思想が修道士の間で熱狂的に支持されたか、わかるような気がします。ヨアキムの思想では当時の支配関係や秩序が否定され、修道士の支配する時代が来ると言っています。現実社会を否定し、特定の人間が支配する、あるいは救われるとすれば、その思想に飛びついて夢中になる人が必ず出ます。人間は昔から続いている社会や秩序をそのまま続けるように言われてもあまり感動しない、古い考えを否定して、しかも自分たちが支配者になれる、救われるとした考えに夢中になるのです。そしてその考えに夢中になる人が増えれば当然それが不都合になる人(それまでの支配者)が出てきます。新しい考えは不都合になる人によって弾圧され、異端にされてしまうのです。
ヨアキムの思想は問題視され、ローマ教皇からたびたび警告されたが、ヨアキムは撤回せず、ついにその死後に異端と宣言されるに至った。ヨアキム主義は13世紀の西方異端思想に大きく影響を与えた。
どのような思想や宗派が異端とされるかは、その時の教皇によって大きく違っています。ペドロ2世やハインリヒ7世などは、教皇の考え方で異端者にされたりそそのかされたりした犠牲者だと思います。
ミルチア・エリアーデは『世界宗教史』において、レッシングの『啓蒙の世紀』やシェリング、ヘーゲルなどの絶対者の三段階からなる展開などの近世ドイツ思想における精神史観にヨアキム主義の影響を指摘している。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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