マルティーノ1世

文字数 1,728文字

フアン1世の弟マルティン1世の子マルティーノ1世について紹介します。作品集には下の画像から入ってください。
王家の血を引いてシチリア王になった者にしては随分お粗末な肖像画に思える。
マルティーノ1世はシチリア女王マリアと後のナバラ女王ブランカと結婚して自身もシチリア王になっているのにこのような肖像画しかありませんでした。
マルティーノ1世が生まれたのは1374年頃、父マルティン1世が18歳、伯父フアン1世が24歳、祖父ペドロ4世が55歳の時で、アラゴン王はまだペドロ4世でした。
私の父ペドロ4世は1377年に58歳で再婚しています。マルティーノ以外にも私の娘のフアナやシチリアの女王マリアなど孫もたくさんいたのにさらに再婚するなんて酷いと思いませんか?
確かにペドロ4世は余の子孫の中では長寿であるし、その年齢で再婚する者は多くはいないだろう。
アラゴン王家とシチリアの関係はシチリア王ピエトロ2世の娘レオノーラがアラゴン王ペドロ4世と結婚してフアン1世とマルティン1世が生まれ、ペドロ4世と先妻の娘コンスタンサがシチリア王フェデリーコ3世と結婚して生まれたのがマリアです。
つまりフアン1世とマルティン1世にはシチリア王家の血が濃く流れていたということですね。
マリアの祖父ピエトロ2世の時代からシチリアは貴族と王家との対立が深刻になっていました。そして1377年にはマリアの父フェデリーコ3世が亡くなり、マリアがシチリアの女王となりました。
そして1390年、マリアはアラゴンに連れて行かれ、母方の従弟であるマルティーノと結婚します。マリア27歳、マルティーノ16歳でした。
貴族の争いで危険な状況にいたシチリアの女王をアラゴン王家が救ったということですね。お姫様の危機を王子様が救ったという物語みたいです。
お姫様のマリアが王子様のマルティーノより11歳年上で、その時のアラゴン王がフアン1世(ちょっと情けないイメージ)ですが、まあそんな感じです。
フアン1世にしてはというか、この場合は弟のマルティン1世が積極的に動いたのかもしれないが、なかなかやるではないか。
1392年、マルティーノは父マルティンとマリアを伴ってシチリアへ侵攻し、対立していた貴族達を破りました。そしてマルティーノ1世としてマリアと共同君主でシチリアを治めることになります。
マルティンもマルティーノもなかなか強かった。
私は不真面目王というあだ名がついているので、弱い人に思われがちですが、実際に戦う機会がなかっただけです。狩猟で体を鍛えていましたので、実践でもそれなりに活躍したはずです。ただ私にはその機会がありませんでした。
フアン1世は1396年に46歳で亡くなり、弟のマルティン1世がアラゴン王位を継ぐことになります。
私はそんなに早く自分が死ぬとは思っていませんでした。だってまだ40代、父上なんて58歳で再婚しているのです。自分も同じように長生きすると信じていました。
1402年にマリアが亡くなった後もマルティーノは単独でシチリアの支配を続けます。そして1403年にマルティーノは後のナバラ女王ブランカと結婚します。この時マルティーノは29歳、ブランカは16歳でした。でも2人の間に生まれたマルティーノ(1403ー1407)は夭折してしまいました。
もし2人の間の子、マルティーノが無事成長していたら、彼はアラゴン、シチリア、ナバラと3つの国の王位を継ぐことになった。
もしそうなっていたら、歴史は大きく変わっていたと思います。
でも1409年、マルティーノ1世はサルディーニャのカリャリで亡くなります。35歳でした。シチリア王位は父のマルティン1世がマルティーノ2世として継ぎました。でもマルティン1世自身も1410年に亡くなっています。
弟はマルティーノ1世が亡くなった時、すごく悲しかったと思います。シチリア女王とナバラ女王、2人の女王と結婚して孫の成長を楽しみにしていたのに孫と息子が相次いで亡くなってしまう、シチリアの王位を自分が継いでも少しもうれしくなかったはずです。
1410年、マルティン1世が後継者を指定せずに亡くなったため、アラゴンの王位は何人もの候補者が出て争うことになります。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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