ジェルメーヌ・ド・フォワ(1)

文字数 1,772文字

バレンシアの歴史について調べていた時、ジェルマニアの反乱の時にアラゴン王妃ジェルメーヌ・ド・フォワは残酷なまでに反乱の主導者を抑圧したと書いてあったので、気になって調べてみました。作品集には下の画像から入って下さい。
またいつものように説明部分はラミロ2世に読んでもらいます。
ジェルメーヌ・ド・フォワ(1488ー1538)は、アラゴン王フェルナンド2世の2番目の妻で、アラゴン、シチリア、ナポリ、ナバラの王妃。フランス貴族フォワ伯家の出身で、父はナルボンヌ子爵ジャン・ド・フォワ、母はフランス王ルイ12世の姉マリー・ドルレアン、弟ヌムール公ガストン・ド・フォワはフランスの将軍として活躍した。
父のナルボンヌ子爵ジャン・ド・フォワの母はナバラ女王レオノール(カルロス・デ・ビアナの妹)で甥でナバラ王であったフランシスコが1483年に死去するとその妹のカタリナが後継者となった時に自分が後継者であると主張して内乱が起きています。ジャンが1497年に主張を取り下げるまで内乱は続き、その3年後にジャンは死去しました。
1504年に先妻であるカスティーリャ女王イサベルを亡くした後、後継者問題に悩まされていたフェルナンド2世は新たな男子をもうけようと、翌1505年に異母姉レオノールの孫であるジェルメーヌと再婚した。この年フェルナンド2世は53歳、ジェルメーヌは17歳であった。
人間関係が複雑でわかりにくいのですが、フェルナンド2世の父フアン2世がナバラ女王ブランカと結婚して生まれたのがカルロスとブランカとレオノールで、カルロスはナバラ王位を巡って父と対立し、ブランカは毒殺され、生き残ったレオノールがアラゴン王位を放棄してナバラ女王になっています。
父フアン2世もそうですが、フェルナンド2世のナバラに対する執念もすごいですね。跡継ぎが生まれる可能性があるだけでなく、自分には縁のなかったナバラ王位も手に入れられることを計算して結婚相手を選んでいます。同じフアンという名前ですが、フアン2世とフェルナンド2世の王位に対する執念というか露骨なえげつなさは嫌ですね。
ジェルメーヌの叔父であるフランス王ルイ12世とフェルナンド2世はナポリ王国の支配を争った経緯があり、この結婚には両者の関係修復の意図もあった。
フェルナンド2世とイサベル女王の間に生まれた男子はいなかったのですか?
フェルナンド2世とイサベル女王の間にはイサベル、フアン、フアナ、マリア、カタリナの5人の子がいました。唯一の男子であったフアン(1478ー1497)は1497年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の娘マルグリットと結婚していますが、同じ年に亡くなっています。
私の父も53歳の時27歳のシビラと再婚して私は大反対しました。いくら跡継ぎが欲しいとはいえ、他の条件もそろった相手を選んで、フェルナンド2世はかなり狡猾です。
1509年にジェルメーヌが生んだ息子フアンはすぐに夭折し、以後はフェルナンド2世との間に子供は生まれなかった。
ジェルメーヌとの再婚は、一方ではナバラ王国の獲得の口実にもなった。ジェルメーヌの祖母レオノールはナバラ女王であり、父ナルボンヌ子爵ジャンはナバラ王位を要求して内乱を起こしたことがあった。ジャンの唯一の男子であったヌムール公ガストンがラヴェンナの戦いで戦死した1512年、フェルナンド2世はナバラ侵攻のため軍勢を派遣し、翌1513年にジェルメーヌの王位継承権に基づいてナバラ王即位を宣言。ジェルメーヌの従姉であるナバラ女王と夫フアン3世(ジャン・ダルブレ)はフランスへ逃れた。
アラゴンとナバラの関係については、ミゲル・セルベートに関するスペイン語の本に詳しく書いてあったのですが、国境近くのトゥデラにはたくさんのユダヤ人が住んでいたのが、このフェルナンド2世のナバラ征服によって大変な思いをしています。その口実がジェルメーヌ・ド・フォワとの結婚だということを知ってなんかすごく嫌な気持ちになりました。
計算されつくされた政略結婚によって侵略する理由を作り、手に入れた国で異教徒への迫害を行う、この後スペインはずっとこの方向に進んでしまいました。
そしてジェルメーヌ・ド・フォワもただ政略結婚に利用されただけでなく、フェルナンド2世の死後怖ろしいことをしています。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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