血液の肺循環説

文字数 1,738文字

ミゲル・セルベートの家の壁に展示してあった『血液の肺循環説』のパネルについて、ここでもう1度話題にします。作品集には下の写真から入ってください。
De sangre del higado consta la materia del alma, mediante una maravillosa elaboración que ahora vas a escuchar.
肝臓にある血液はアルマが物質となったものであり、今から聞くことになる驚くべき方法によって合成されている。
Por eso se dice que el alma está en la sangre, y que el alma misma es la sangre o espíritu sanguineo.
したがって、アルマは血液の中に存在し、アルマは血液と同じか血液のスピリットと同じである。
No se dice que el alma esté principalmente en las paredes del corazón, ni en la masa del cerebro o  del hígado, sino en la sangre, como enseña Dios mismo.
アルマは主に心臓の壁にあるのではないし、脳の組織や肝臓にあるのでもなく、血液の中に存在し、同じことを神も教えている。
Por inspiración de Dios a través de la boca y los oídos hasta el corazón y el cerebro de Adán y de sus hijos, el aura celestial del espíritu, la chispita de la idea, quedó esencialmente unida con la materia de la sangre espirituafizada, y así fue generada el alma.
神のインスピレーションはアダムと彼の子孫の口や耳を通して心臓や脳にまで伝えられ、スピリットによる神のオーラ、イデアの息はその本質が物質となってスピリットが入った血液となり、そこにアルマが存在する。
Lo mismo que Dios hace roja la sangre por medio der aire, así Cristo pone encendido al Espïritu Santo.
神は大気に触れた血液を赤く染め、キリストはこの赤を聖なるスピリットとした。
私達の時代、医学はガレノスの教えが絶対的な権威であった。人間が呼吸をしていること、血液が全身を巡っていることはもちろん知られていたが、呼吸と血液の流れにどのような関係があるかは知られていなかった。ガレノスは心臓を隔てる壁に小さな孔があって、血液はその孔を通って右心室から左心室へ流れると考えていた。
ルネサンスの当時も呼吸は神のスピリットを取り入れるとても重要なことと考えられていました。でも肺にたまった大気とスピリットがどのように全身に運ばれるかは知られていませんでした。
私達の時代までは、スピリットは心臓で血液と混ざり合うと教えられてきた。
その考えをミゲル・セルベートは否定して、血液は肺に行って大気と混ざり赤く染まると考えました。そして大気のスピリットと混ざった血液が今度は全身へ行くのです。
ガレノスの説を否定するとは信じられないことだ。
それをしたからこそ、神学でも新しい考えを打ち出しました。すべての人間が神のスピリットを受け取ってそのスピリットが血液と混ざって全身を巡り生きているということです。
すべての人間が神のスピリットを受け取って生きていると考えれば、宗教の違いや解釈の違いで争うのは間違っていますよね。神はすべての人間にそういう体の仕組みを与えたのですから、その中で救われる者とそうでない者を分けるのはおかしいです。
もし、ミゲル・セルベートの考えがもっと広まっていれば、歴史は変わっていたかもしれません。でも彼は殺され、宗教や宗派の違いによる争いはますます激しくなりました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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