ヴェンツェル(2)

文字数 1,983文字

ヴェンツェルについての続きです。作品集は下の画像から入って下さい。
怠慢王という名前の割に、ヴェンツェルの説明は長いではないか。
私はヴェンツェルに同情します。次から次へと大変なことばかり起きて・・・
ヴェンツェルは1383年に死去した同名の叔父ヴェンツェル1世からルクセンブルクを受け継いだが、1388年にルクセンブルクをヨープストへ借金の抵当として渡してしまった。以後ルクセンブルクは他国の人間に転売され続けた末にルクセンブルク家から離れた。
ヨープストはヴェンツェルの従兄弟でモラヴィア辺境伯です。
同年にジギスムントも同じくブランデンブルクをヨープストへ抵当として譲ったためヨープストの力が増し、反対にヴェンツェル兄弟が領土を失う羽目に陥った。
全く何をやっている!ダメ王にもほどがある。ヴェンツェルとジギスムントは誰の子だ?
2人の父カール4世は文人皇帝と呼ばれ評判はかなりよかったようです。
それだけでなく、ボヘミアでも失政を重ねた。1393年、ボヘミアに司教座を設置しようとしてプラハ大司教ヤン・イェンシュテインと対立し大司教を投獄、すぐに釈放したが側近に拷問を加え、大司教総代理のヤン・ネポムツキーを殺害する事件を起こした。
ヤン・ネポムツキーは後に聖人として列聖されています。
それがきっかけで上級貴族とヨープストが扇動した反乱が起こり、1394年5月にヴェンツェルはヨープストに捕らえられ監禁されてしまった。
聖職者を拷問で殺してしまったヴェンツェルは愚かですけど、ヨープストもかなり狡猾ですね。
数か月後に末弟ヨハンの尽力で釈放されたが、1396年にヨハンが死去、代わりにジギスムントを頼りにしたが、ハンガリー王の彼にはボヘミアへ介入できる暇がなく、貴族層の要求でヴェンツェルは高官の任命や地方の裁判権を上級貴族へ明け渡し、王権を衰退させた。
ボヘミアとかも本当に複雑な国です。私はアラゴン王でよかったです。
ローマ王廃位後もボヘミアの混乱と一族間の対立を収められず、1402年に対立していたジギスムントの手により再び監禁、ジギスムントと懇意にしていたハプスブルク家の人質としてオーストリアのウィーンへ移送される有様だった。
ちょっと待ってください。ジギスムントってヴェンツェルの異母弟ですよね。兄弟でもこういうことするのですか?
翌1403年に釈放されプラハへ帰還したが、ボヘミアは治安悪化で盗賊が荒らし回り、都市や修道院が対抗のため武装、貴族と聖職者の権力争いなどで先が見えない不穏な情勢に覆われていた。
王が酷いと治安は乱れ、国は大変なことになってしまうのですね。
教会大分裂終息のため公会議の提案・実現が近付く中、ボヘミア王としてウィクリフの思想を支持するヤン・フスとその支持者を保護したが、1403年にプラハ大司教に就任したローマ派のズビニュク・ザイーツがウィクリフ派(後のフス派)を摘発し始めると、1408年7月にザイーツへ圧力をかけプラハに異端は存在しないと虚偽の発表をさせた。
ウィクリフ派が広がったのはリチャード2世とアン・オブ・ボヘミアの結婚があったからなので、ボヘミアの歴史はいろいろなことが複雑に絡んでいます。
これにはピサ教会会議開催に合わせた政治的思惑が絡んでおり、ヴェンツェルは教会会議を中立という形で支持する見返りにローマ王復帰を約束させ、教会会議と手を組む関係上国内に異端がいるのは都合が悪いため、ウィクリフ派には見て見ぬふりを決め込んでいたのである。プラハ大学にいるウィクリフ派が中立を支持していたという事情もあり、大学の支持を背景に中立を貫く計算も働いていた。
ヴェンツェルがウィクリフの神学を理解して共感していたとは思えない。ただ自分の政治的立場から見て見ぬふりをしたのだろう。余が南フランスを巡る争いでトゥールーズを支持したのも、トゥールーズ伯と親戚関係にあったからで、カタリ派の教義に理解を示したわけではない。それなのにカタリ派に味方したということで教皇に破門されてしまった。
だが、ザイーツ大司教はローマ教皇グレゴリウス12世支持を表明、ウィクリフ派の牙城と化したプラハ大学と対立、プラハ大学内部でもボヘミア外の教授・学生などで構成された「ドイツ国民団」がボヘミア出身の「ボヘミア国民団」と対立していた。ヴェンツェルは1409年にクトナーホラでボヘミア国民団に有利な裁定を下し、反発したドイツ国民団を追放(彼らは後にライプツィヒ大学へ移る)1410年にウィクリフ派の台頭を恐れたザイーツが亡命して表面的にボヘミアは平穏になった。同年にループレヒトが死去、それに伴いジギスムントとヨープストがローマ王に立候補したが、翌1411年にヨープストも亡くなったためジギスムントがローマ王に選出された。
ボヘミアもこの時期は本当に複雑な状況になっています。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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