ニコラウス・コペルニクス(9)
文字数 823文字
イブン・ルシュド(1126年ー1198年)はスペインのコルドバ生まれの哲学者、医学者です。ラテン語名のアヴェロエスの名でよく知られていて、アラブ・イスラム世界におけるアリストテレスの注釈者として有名です。
彼らはプトレマイオスの惑星軌道モデルが、アリストテレスの「天空は完璧な円を描いて動き続ける」という原則から相当ずれており、「今の天文学は、計算には合うが、存在するものには合わない」と批判し、物理的な原則に合致する天文学の必要を訴え、同心球体説を工夫した。コペルニクスがクラクフ、ボローニャ、パドゥアで学んだころ、イブン・ルシュドの議論への関心は高まっており、例えばアルベルト・ブルゼフスキ(クラクフ)、アレッサンドロ・アキリーニ(ボローニャ)、Agostino Nifo(パドヴァ)といった論者らがイブン・ルシュドを論じ、パドヴァでは同心球体説が研究されていた。のちにコペルニクスも『天球の回転について』でこの二人の議論を引用することになる。
古代メソポタミアにおいて既に四季の長さが等しくないことは知られていた。1年は4等分されるのではなく、冬の部分の方が短いのだ。これは太陽が冬は軌道上を速く動いているか、太陽の円軌道の中心が地球からずれていて、太陽が冬の部分では速く動いて見えるかのどちらかだった。ヒッパルコスは太陽の円軌道を地球からずれた場所に置いて、この見かけの非一様さを解決し、プトレマイオスもそれを継承した。