歴史を伝えるファンタジー
文字数 1,410文字
僕はハインリヒ7世と一緒に旅をして、歴史というのは本当に勝った者、権力者の側で書かれているということがよくわかりました。本人の意志とは関係なく、権力闘争に巻き込まれ、そのまま消されている人が歴史には無数にいます。
考えてみれば、余は生きている時は相手の感情を思いやったり、何を話せばいいか考えたりすることはなかったかもしれない。生まれてすぐから高い地位を与えられてちやほやされ、周りにいるのは母上以外は皆家臣、人の気持ちを考えるなどということは全くなかった。
それは余も同じだ、殺された貴族やその家族の気持ちなど全く考えていないし、娘が産まれてすぐに王妃とも離婚した。産まれてすぐの子と引き離され、何の権利も与えられずに泣く泣くピレネーを渡った彼女の気持ちなど、何も考えていなかった。