ベルトラン・デュ・ゲクラン(3)

文字数 1,694文字

ベルトラン・デュ・ゲクランについての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
1369年、ゲクランの策略でペドロ1世は殺され、エンリケはカスティーリャ王エンリケ2世として即位します。
続くイングランドとの戦いではポワトゥーやサントンジュを取り戻し、イングランド軍をブルターニュに追いやった。これらの功績により、ゲクランは1370年10月2日、シャルル5世によってフランス王軍司令官に任じられている。
フランスのシャルル7世は私の娘ビオランテ(ヨランド・ダラゴン)の娘マリーと結婚しているので、私の義理の孫になります。この時シャルル7世はまだ産まれていませんが、ゲクランの活躍でフランスが有利になったのは間違いないと思います。
僕の立場から見れば、ゲクランはユダヤ人を多く登用したペドロ1世が殺されてエンリケがカスティーリャ王になるきっかけを作った人物、ユダヤ人やイスラム教徒への迫害が始まる原因の1つを作った敵ですが、フランス側から見れば大活躍した英雄ですね。
戦争の時は単純にどちらが正義でどちらが悪とか、どちらがより残酷になっているとかは言い切れない。それぞれの立場や言い分がある。
1374年、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーント(黒太子の弟)がカレーからボルドーに進撃したが、ゲクランの働きによって得るところなく退却した。
あれ、黒太子はどうなったのですか?
エドワード黒太子は病に臥せっていて戦場に出ることができずにいましたが、1370年に黒太子が無理を押して出陣した出陣したリモージュの包囲戦では開城させることに成功しますが、以前にリモージュが無抵抗でフランス軍に開城した罰として住民3000人を虐殺してしまいました。
酷いですね。
勝ち進んできた者ほど自分の才能に溺れ、裏切りや背信が許せず残虐になってしまうのだろう。
このことでイングランド軍への反発は強まり、病が重くなって戦場に出ることもできなくなった黒太子は1371年に本国へ帰還し、その後ゲクランの活躍でイングランドはアキテーヌの大部分を失います。そして1376年6月に45歳で赤痢(またはペスト)により病死します。父も翌1377年に死去し、王位は黒太子の息子リチャード2世が継ぐことになります。
父エドワード3世が長生きしたから黒太子は王位につくことなく亡くなったというわけか。
1375年にブリュージュ条約が結ばれ、百年戦争は2年間の休戦を迎える。この条約によってフランスはほぼ戦前の旧状に復し、カレー、シェルブール、ブレスト、ボルドー、バイヨンヌの諸都市を除いた地域を取り戻した。
これはあくまでもフランス側に立った意見ですが、ゲクランはかなり活躍しています。
1380年7月13日、ゲクランは南フランス・ラングドック地方のシャトーヌフ・ド・ランドンを包囲中に赤痢によって病没した。
エドワード黒太子も赤痢にかかっていますよね。
赤痢は赤痢菌によってもたらされる感染症で大腸に激しい炎症反応が起こり、ほとんどが食物や水などを経由して感染します。赤痢菌が最初に発見されたのは1897年なのでかなり後になります。
シャルル5世は、王家の墓所パリのサン=ドニ大聖堂にゲクランを埋葬するように命じた。2ヶ月後にはシャルル5世も死亡したが、今もゲクランの石棺はシャルル5世の足元に置かれている。なお、心臓は地元ディナンのサン・ソヴール教会に埋葬された。
シャルル5世はゲクランをかなり優遇しています。
ゲクランの性格は、ルネサンスの傭兵隊長に近い合理的な側面を見せながら、中世の騎士道精神も残した過渡期特有の二面性を持ったものだった。奇襲や野戦のような戦術を用いる臨機応変な戦術で勝利を収めながらも、名誉を重視してやたらと誓いを立て、エドワード黒太子に勝つまで座って食事をしないなどの制約を自らに課すようなところは、中世の騎士そのままだった。彼は死亡するまでに、フランスの大部分をイングランドから奪い返した。
シャルル5世とゲクランがいた時代のフランスはよかったのです。でも次のシャルル6世の時代は大変なことになり、義理の孫シャルル7世は苦労しています。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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