ハンニバルの名前と蝿の王

文字数 1,008文字

『フェニキア文字とヘブライ文字』の中でハンニバルの名前がバアルという神と関係があるということを話題にしたのですが、バアルについてはニコラさんも言いたいことがたくさんあるそうなので、ここで話してもらうことにしました。作品集のページには下の画像から入ってください。
これがハンニバルの名前の由来にもなったバアルだ。バアルはカナン人の高位の神だがその信仰は周囲にも広まり、またウガリット神話という長い神話体系がある。
バアルもウガリット神話も初めて聞く名前です。
ウガリット神話を簡単に説明すると、バアルは嵐と慈雨の神で兄弟に海の神ヤムや死の神モートがいて、バアルはこの兄弟の神と戦うことになる。
ギリシャ神話にも少し似ていますね。
旧約聖書の中にもバアルの話は出てくる。『列王記』で予言者エリヤがバアルの預言者と雨乞いの儀式をもって争い、勝利したことが書かれている。
旧約聖書に出てくるということはかなり古い時代の話ですよね。
バアルの預言者たちとエリヤはカルメル山に祭壇を築いて、それぞれの神に祈ったところ、バアルからは何の答えもなく、エリヤの神(ヤハウェ)のみが天から火を降らせるという奇跡をなした。直後にエリヤはバアルの預言者を捕らえるように指示を出し、バアルの預言者たちは捕らえられて処刑された。
カルメル山はカルメル会の起源となった場所でもある。12世紀にB修道士がカルメル山中に修道院を築いて暮らした。修道士が集まって生活し、会則が出来、1226年には教皇ホノリウス3世に認可されたことで正式な修道会となった。私は13世紀に生まれてカルメル会に所属し、最初はカルメル山、その後シチリア、カタルーニャへと移動した。
もともと「バアル・ゼブル」(崇高なるバアル)と呼ばれていたのが、「バアル・ゼブブ」(蝿のバアル)と呼んで嘲笑されるようになった。
さらにバアルは悪魔バエルにもされている。
有名なハンニバルの名前がフェニキア人の間で広く信仰されていた神バアルと関係があり、さらに聖書などでは蝿の王と呼ばれ悪魔にまで貶められていたというのはショックでした。
バアルへの信仰が広がっていたからこそ徹底的に潰されて貶められてきたのだろう。ローマ人も後のキリスト教徒もハンニバルは敵でも英雄と認めた。だが彼らの神や祖国カルタゴは徹底的に破壊され貶められてきた。
ポエニ戦争について調べていたら、思いがけずいろいろなところと関係していて驚きました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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