カリストゥス3世(2)

文字数 1,730文字

アルフォンソ・デ・ボルハは1455年、76歳で教皇に選出され、カリストゥス3世を名乗ります。作品集には下の画像から入ってください。
治世ではスペイン出身者を周囲に集めたため、ローマ市民を憤慨させたという。自身の出世を予言したフェレールを列聖、ジャンヌ・ダルクの復権裁判を行い裁判判決を覆した。
フェレールを列聖したのは教皇になった年、ジャンヌ・ダルクの復権裁判の開廷は1455年の11月で翌1456年7月7日にジャンヌの無罪が宣告されました。
ジャンヌ・ダルクと深い関係のあるフランスのシャルル7世(1403ー1461)は私の義理の孫です。娘のビオランテがアンジュー家に嫁ぎ、長女のマリーがシャルル7世の王妃となりました。シャルル7世がジャンヌの復権裁判を行っています。
カリストゥス3世はネポティズムを行い、1456年に2人の甥を枢機卿に登用した。妹イサベルの息子ロドリーゴ・ボルジア(後のアレクサンデル6世)と姉カタリーナの息子ルイス・フアン・デ・ミーラを枢機卿に登用しただけでなく、ロドリーゴの弟ペドロ・ルイスを教会軍総司令官、スポレート公に任じて大衆の怒りを増大させた。
ロドリーゴ・ボルジアと子のチェーザレ・ボルジアは映画、テレビドラマ、小説、漫画などの主人公になっています。
まったくビセンテ・フェレールはとんでもない男を見出して予言したものだ。カリストゥス3世は教皇庁のトラブルメーカーではないか。
また、ニコラウス5世は十字軍に充てるべき費用を教会の修復や芸術、文芸に費やしたとして非難し、独自に艦隊を編成しエーゲ海へ派遣、トレビゾンド帝国のヨハネス4世と同盟するなど十字軍結成に力を尽くしたが戦果を挙げられずに終わった(遠征艦隊には元フランス会計方ジャック・クールも参加していたが、1456年に途中のキオス島で死去)。
こう言っては失礼ですが、76歳の老齢で痛風に苦しんでいた人にしては随分元気です。
ハンガリーとアルバニアではオスマン帝国に対してフニャディ・ヤーノシュやスカンデルベグなどの英雄が活躍したが、フニャディ死後のハンガリーは内乱が起こり、ドイツではカリストゥス3世が戦費補填のために臨時税を徴収したことで不満が渦巻き、元主君アルフォンソ5世ともイタリアの権益を巡り対立していった。
私はやる気がなくて鷹狩りに熱中して、宮廷を王妃とその寵臣に牛耳られ、不真面目王と呼ばれるようになりましたが、カリストゥス3世は逆にやる気があり過ぎていろいろなことに手を出し、問題を大きくしたような気がします。
教会内部でも不祥事が起こり、アルマニャック伯ジャン5世が実の妹と結ばれることを許可したという勅書を尚書院の役人が作成、多額の謝礼を受け取るという事件があった。カリストゥス3世の死後事件は発覚したが、関与が疑われたロドリーゴは無実と判定された。
これが事実ならカリストゥス3世は不正を見逃して賄賂を受け取ったということか。聖職者である者がこのようなことをするとは、この時代の教皇はここまで腐敗したのか。
僕たち16世紀の人間はボルジア家についていろいろ知っているから特別驚かないけど、それ以前の人にとっては衝撃的なことをカリストゥス3世はやっています。
1458年6月27日にアルフォンソ5世が死亡、庶子フェルディナンドへのナポリ継承を認めなかったことでナポリをボルジア領にするのではないかとの噂が流れたが、8月6日にカリストゥス3世が79歳で没したため、ボルジア家に対するローマ市民の怒りが爆発して暴動が起こり、ボルジア家を始めスペイン人はローマを逃げ出し、ペドロ・ルイスは逃亡した後急死した。しかしロドリーゴはローマへ引き返し、次の教皇ピウス2世を支持したため地位を保ち、教皇庁で勢力を固め始めた。
アルフォンソ5世の庶子フェルディナンドは無事ナポリ王を継承しています。
全くビセンテ・フェレールはとんでもない男を見出したものだ。教皇庁の腐敗を象徴するようなことばかりしている。
ビセンテ・フェレールもカリストゥス3世もバレンシア出身ですよね。バレンシアという土地がこういうスケールが大きく、それまでの価値観を打ち砕くような人間を生み出したのかもしれないと考えました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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