異端審問(2)

文字数 1,921文字

異端審問についての話の続きです。作品のページは下の写真から入ってください。
Los tribunales estaban formados por dos jueses letrados y un teólogo.
裁判は2人の法律家による裁判官と1人の神学者によって行われた。
Había un fiscal acusador y un juez de bienes que tasaba las posesiones confiscadas a los acusados.
1人の裁判官が告発し、もう1人が被告人の財産を査定して没収した。
En el caso más que probable de que el acusado fuese condenado, sus bienes pasaban a ingresar en las arcas del tribunal que de esta manera se autofinanciaba.
この場合、判決を受けた被告が多くなるほど裁判所にも多くの財産が入ることになり、このような方法で私有財産を増やした。
Entre el personal que asistía al tribunal, los más importantes para historia fueron los notarios, que escribían todas las preguntas y respuestas hechas a los presuntos herejes y que hoy son unos documentos muy valiosos.
裁判官にとっては、公証人が作成した異端者への質問と答えの詳細な記録が何よりも大切なものとなり、今日でもいろいろな種類の記録が残っている。
Inclusive anotaban las declaraciones hechas cuando el acusado era sometido a tortura.
その記録の中には拷問されて自白した供述も含まれている。
El uso de la tortura era común, muchas veces sólo consistía en mostrar al reo la sala de tormento, los verdugos y los instrumentos de tortura, para conseguir confesiones y delaciones.
拷問は普通に行われるようになり、多くの場合はそのやり方や苦痛を示した後で、自白や密告を得るために道具を使っての拷問が行われた。
Las torturas más usadas eran la cuerda, el tormento del agua, el garrote y la garrucha.
拷問でより多く使われたのは、ロープを使った方法、水責め、締め付ける物、滑車などである。
私は十字軍でのキリスト教徒の残虐行為が嫌で修道士となった。だがそのころ始まった異端審問は何百年も続いていたのか。
最初はカタリ派などが対象でしたが、ルネサンスや宗教改革の時代には特にスペインでは改宗したユダヤ人やイスラム教徒、ルター派の人も対象にされてたくさんの人が殺されました。
異端者を殺せば殺すほど財産を没収して裁判所の関係者がもうかる仕組みが出来上がってしまった。そして異端審問は教皇や聖職者が定めた信仰を守るための正しい制度だと誰もが信じている。こうなるとその勢いを止めるのは難しいだろう。
異端者の供述を記入した書類が財産没収につながる価値あるものに見えてしまうのですね。
信仰心と現世利益が繋がった時、人間は最も残酷になる。十字軍もまた教皇が救いを約束し、豊かな土地が手に入ると言ったからこそ王侯貴族だけでなく民衆も熱狂して残酷になった。ルネサンスにはせっかくヒューマニズムという人間を大切にする思想が生まれたが、異端審問という制度が続く中、人間はまた残酷になっていった。
僕のお父さんはユダヤ人の中でも特別な教えを受け継いでいました。だからこそ僕はアラゴン王家のみんなが、生きていた時や死後も評価されないばかりか酷い扱いを受けていることに怒りを感じました。
だからこそ我々は出会うことができた。亡霊としてさまよいながら真に理解してくれる者を求めていた。
ルネサンスは矛盾の多い時代です。批判精神が高まり、人間の尊厳について考えられた唯一の時代、それなのに異端審問などの制度や宗教改革後の争いで人間の尊厳は踏みにじられてしまいます。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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