ヤン・フス(8)

文字数 1,371文字

ヤン・フスについての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
フスの判決は7月6日、公会議の参加者を大聖堂に集めた荘厳な場面で宣告された。荘厳なミサと聖餐式の後、フスが大聖堂に連れ込まれた。
一方的な裁判ほど、それが正しいと見せるために儀式は立派に行うのですね。
ローディの大司教が、異端を撲滅する義務について説教を行った。そして、フスとウィクリフが行った異端の一部と、これまでのフスの裁判の報告が読み上げられた。フスは何度か大声で抗議した。キリストに対する訴えまでもが異端的として禁じられた時、彼は「神とキリストよ、審査会は私たちを虐げるときに、いつも主なる神を裁きの理由に挙げてきた。それなのに、いまや審査会は自らの行動と法すらも異端と断じようととしている」と叫んだ。
結局フスは異端の理由として挙げられたことに納得できなかったわけですね。
そして、フスと彼の論文に対する有罪判決文を読み上げられると、フスは再び「今でも自分の望みは正しく聖書にしたがって裁かれることだけだ」と大声で抗議した。そしてフスはひざまずいて、敵対する全ての人を許すように、低い声で神に祈った。
どれほど抗議してもそこにいる者は誰も聞いてくれない、さぞ悔しかったと思います。
その後、聖職者剥奪が行われた。フスは聖職者の法衣に着替えさせられ、再び主張を撤回するように求められた。彼が再び断ると法衣を剝ぎ取られ、聖職者としての剃髪は乱され、聖職者の権利は全て剥奪され世俗の力に引き渡されるとの宣言が読み上げられた。フスの頭には「異端の首謀者」と書いた高い紙帽子がかぶせられた。
僕たちの時代の異端審問でも、死刑判決が出た後は世俗の権力に引き渡されてから刑が執行されます。
フスは、武装した男たちによって火刑の柱に連れて行かれた。処刑の場でも彼はひざまずき、両腕を広げ、声高に祈った。フスの告解を聞いて許しを与えよという人もいたが、司祭は、異端者の告解は聞かないし許しも与えない、と頑固に断った。死刑執行人はフスの衣類を脱がし、両手を後ろ手に縛り、首を柱に結び付け、彼の首の高さまで薪とわらを積み上げた。最後になってジギスムントの家臣フォン・パッペンハイム伯は、フスに主張を撤回して命乞いするようにすすめた。しかしフスは「私が、間違った証言者に告発されたような教えを説いてないことは、神が知っておられる。私が書き、教え、広めた神の言葉の真実とともに私は喜んで死のう」と述べて断った。
弟のジギスムントは最後までフスの命を助けようとしていた。
火がつけられると、フスは声を高めて「神よ、そなた生ける神の御子よ、我に慈悲を」と唱えた。これを3回唱え、「処女マリアの子よ」と続けた時、風が炎をフスの顔に吹き上げた。そして、フスを悪魔とみなす敬虔な老婆がさらに薪をくべると「おお、神聖なる単純よ」と叫んだ。彼はなおも口と頭を動かしていたが、やがて息をひきとった。フスの衣類も火にくべられ、遺灰は集められて、近くのライン川に捨てられた。
その後、名誉回復が行われます。
1999年にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世はフスについて「残酷な死をもたらしたことへの深い後悔」を示しフスの死に「深い悲しみ」を加えて「道義的勇気」をたたえた。チェコ共和国のミロスラフ・ヴルク枢機卿はこの時の声明の作成に尽力した。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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