エドワード黒太子(3)

文字数 1,845文字

エドワード黒太子についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
病に臥せっていた黒太子は戦場に出て指揮を執ることができず、イングランド支配下にあった城、都市は次々とフランス軍に奪回されていった。1370年に黒太子が無理を押して出陣したリモージュの包囲戦では開城させることに成功したが、以前にリモージュが無抵抗でフランス軍に開城した罰として住民3000人を虐殺した。
え!、住民3000人を虐殺したのですか?それは酷過ぎます。
エドワード黒太子は赤痢に罹って戦場に出ることもできない間にフランスに領地を奪われて苛立っていた。やっと戦地に立った時、そこの住民が無抵抗でフランスに開城したことに腹を立て、虐殺したのではないか。
どれほど病に苦しみ、どれほど苛立ったいたとしても虐殺をしていいという理由にはなりません。戦士ならともかく、抵抗することのできない住民を3000人も殺しているのです。これは怖ろしいことです。
これによりイングランド軍への反発は一層強まり、各地で猛反攻を受けることになった。病が重くなって戦場に出ることもできなくなった黒太子は1371年に本国に帰還、黒太子がいなくなった後はゲクランがアキテーヌ侵攻作戦を展開して次々と領土を奪い取り、イングランドはアキテーヌの大部分を失いボルドーとバイヨンヌ周辺しか保てなくなった。
黒太子が住民3000人を虐殺したという話を聞いた後だと、フランスとゲクランの方が正しく思えてきます。
イングランドに帰国してからは、父に代わって国政を牛耳っていた弟のランカスター公ジョン・オブ・ゴーントから実権を取り戻し、1376年4月の善良議会の開催を後押しして国政改革に着手したが、同年6月に45歳で赤痢(またはペスト)により病死した。父も翌1377年に死去し、王位は黒太子の息子リチャード2世が継いだ。
赤痢に罹ると戦場に出られないほどの体になってしまうのか?
赤痢菌の感染によって、大腸に出血、潰瘍、糜爛を伴う激しい炎症反応が起きます(出血性大腸炎)
なんか痛そうな病気ですね。
人ごとのように話しているが、フアン1世は赤痢に罹った可能性もある。
え、私赤痢に罹っていたのですか?全く自覚はないのですけど・・・
戦場で多くの者が赤痢に罹っている。戦場でなくても狩りの時は不衛生な水を飲んだり食物を口にする可能性がある。赤痢にかかる可能性は充分にある。
赤痢ではなく暗殺かもしれません。フアン1世は狩りに行って突然亡くなっています。まだ46歳の若さで病気がちでもなかったフアン1世が突然亡くなるのはどうもおかしい。暗殺だった可能性もあります。狩りの時なら見張りもいないし近くに医者もいない。暗殺するチャンスです。毒を入れた飲み物を飲ませれば・・・
ええー!私はそんな方法で殺されたのですか?確かに私は王妃とその寵臣に宮廷を牛耳られ、国の財政は傾き、不真面目王と呼ばれていました。でも、まさか私が暗殺されるなんて・・・
僕も確信があるわけではありません。でもフアン1世の死には何か裏があるような気もします。
我々バルセロナ朝アラゴン王家に限ってそんなことあるわけない。
そうですよね。イングランドやフランス、そしてカスティーリャなどの王家に比べて、アラゴン王家は本当に争いや陰謀、残虐な事件が少ないです。だから黒太子が住民3000人を虐殺したと聞いて驚きました。イングランドやフランスは王家の争いが凄まじいから、もう人を殺すことに罪の意識も感じなくなっているのでしょうか?
僕は最初にラミロ2世の話を聞いた時、なんて怖ろしい王様かと思ってしまいました。同じキリスト教徒の貴族を騙して集め、斬首の命令を出して、その首を鐘のように高く積み上げたからです。でもラミロ2世は反乱を起こした貴族をそうやって処罰することでアラゴンを守ったのです。黒太子の場合はそうではありません。自分が病気になって苦しみ、経済的にもうまくいかなくて領土が奪われていました。でもだからといって個人的な苛立ちや恨みを住民に向けて虐殺する、これは許されることでしょうか?
歴史の中ではひどい侵略や虐殺を行っても、その国を発展させた、歴史を変えたという理由で英雄や教祖として崇められている人はたくさんいます。エドワード黒太子も英国で、そして日本でもどちらかというと英雄視されています。
罪のない人を苦しめ虐殺すること、死者の尊厳を踏みにじること、これはどんな時代、宗教の下でも決してやってはいけないことだと思います。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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