クラウディオス・プトレマイオス(8)
文字数 835文字
『アルマゲスト』に現れるデータの由来や取り扱いについては様々な議論がある。特に「恒星表」については、自らの観測ではなく(『アルマゲスト』での説明と異なって)ヒッパルコスのデータから計算しなおしたものではないかという疑問がティコ・ブラーエ以来一度ならず取り上げられている。
プトレマイオスの著書『テトラビブロス』(Tetrabiblos、四つの書)は占星術の古典として知られる。古代において既に基本的な書物として認識され、イスラム期の中東においても同様であった。本書がもたらした権威ゆえにプトレマイオスはルネサンス期ヨーロッパの占星術師、学者から「最も神聖なるプトレマイオス」と呼ばれることとなった。
『テトラビブロス』の原題は「影響」であるプトレマイオスは、本書を通して、常に変化する星々の位置が世界にもたらす「影響」について説明(ロゴス)を与えることを意図した。星々の位置は、地球、太陽、月、惑星、星辰の運動により常に変化する。この運動については前著『アルマゲスト』において、数学を道具として用いて論じた。これに対して、星々の位置の影響について論じる『テトラビブロス』においては、哲学を道具として用いて論じた。このように『アルマゲスト』を第一部とした場合、『テトラビブロス』は第二部に相当する。