医学の歴史

文字数 1,243文字

今日はミゲル・セルベートに関するエッセイの中で医者同士の国を越えた論争について書いたので、医学の歴史を簡単にまとめます。作品集は下の写真から入ってください。
まずは1番有名な古代ギリシャのヒポクラテス(紀元前460ー370)です。医学を原始的な迷信や呪術から切り離し、科学へと発展させました。『ヒポクラテスの誓い』『四体液説』などが有名で、『人生は短く術の道は長い』という言葉も残しています。
人生は短いと言いながら90歳近くまで生きている。十分長生きではないか。
それだけ長く生きても、まだまだ医学の道は長く、追求すべきことはたくさんあるという意味だ。私もまた同じようにまだまだ追求すべきことがたくさんあると考え、天国に行くのはやめた。
おかしな爺さんだ。修道士でありながら天国へ行きたくないとは・・・
次に古代ローマのディオスコリデス(40ー90)です。ローマ皇帝ネロの治世の時代に活動し、全5巻からなる『薬物誌』は1500年以上薬学、植物学の基本文献になっていました。レオナルド・フックスも影響を受けています。
薬草についての知識は修道院の中でも長い間伝えられてきた。
そして最も有名なガレノス(129年頃ー200年頃)は剣闘士の学校で外科医として勤務したり、動物の解剖なども行い、その権威は16世紀まで続きました。
ヒポクラテス、ディオスコリデス、ガレノスは16世紀までは医者として必ず知っていなければならない知識だった。
でも3人ともかなり古い時代の人ですよ。
西洋の医学はガレノスの時代からほとんど進歩がなかった。だが、イスラム教徒の国では優れた医者や学者が次々と生まれた。中でもアヴィセンナ(980ー1037)は最大の医者の1人である。感染症の感染性質を発見し、検疫のシステムを導入した。
余が生まれるより前の時代らしいが、当時の西洋社会ではそのようなことは全く知られていなかった。
私も初めてアヴィセンナの本を読んだ時は驚いた。なんとかしてその知識を広めたいと翻訳を試みたが、全ての本を手に入れることはできなかった。
ニコラさんはキリスト教の修道士でありながらアラビア語で書かれたイスラム教徒の本も持っているんだもの、僕は見つからないかドキドキした。
知識の正しさにキリスト教徒とかイスラム教徒とかは関係ない。イスラム教徒の書いた本であろうと、それが正しいのなら学んで広めたい。
だが、16世紀になってからでも、ガレノスだけでなくアヴィセンナなどの知識を取り入れる者もいれば、相変わらずアラブ人の知識は間違っていると主張して譲らない者もいた。それにカトリック、プロテスタントの争いも加わり、その説が正しいかどうかよりもどの宗派に属しているかで激しい争いが起きた。
宗教には関係なく正しい説が広く受け入れられればいいのですけど、なかなかそうはならないようですね。
だがフェリペ、君はまさに16世紀、医学の転換期に生きてしかもこれから大学に行って新しく学ぼうとしているのだ。
どんなことが学べるか、楽しみです。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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