ナバラの王位継承(1)

文字数 1,984文字

前回フェルナンド2世がナバラ女王レオノールの孫であるジェルメーヌ・ド・フォワと結婚したために王位を請求してナバラに侵攻したことを書きましたが、ここでもう1度ナバラの王位継承がどうなっていたかまとめます。作品集には下の画像から入ってください。
最初はナバラ女王ブランカ1世からです。説明部分はラミロ2世に読んでもらいます。
ブランカ1世(1387ー1441)はナバラ王国の女王(在位1425ー1441)ナバラ王カルロス3世とカスティーリャ王エンリケ2世の娘レオノールの長女。
カスティーリャ王エンリケ2世というのはアルフォンソ11世と愛妾レオノール・デ・グスマンの子でペドロ1世と戦って王になっています。
はじめシチリア王マルティーノ1世(アラゴン王マルティン1世の子)と1402年に結婚した。
アラゴン王マルティン1世は私の弟、シチリア王マルティーノ1世は私の甥です。1402年に結婚した時、マルティーノ1世は28歳、ブランカ1世は15歳でこの時はまだ女王になる前です。甥のマルティーノ1世はシチリア女王マリアと結婚していたのでシチリア王になっていたわけです。
2人の間に生まれたマルティーノ(1403ー1407)が夭折した後、マルティーノ1世も1409年に死去した。シチリア王位はマルティン1世がマルティーノ2世として継承した。
2人の間の子が無事に成長すればアラゴン、シチリア、ナバラの3つの国を継ぐはずでした。でも子供は夭折し、マルティーノ1世も後継者を残さずに亡くなりました。弟が子のシチリア王位を継いでマルティーノ2世となりましたが、我が子が自分より先に亡くなってうれしいわけない、マルティンは深い悲しみの中で、翌年1410年に亡くなり、アラゴンの王は『カスペの妥協』で選出されることになります。
10年後の1419年、アラゴン王フェルナンド1世の次男フアンと再婚した。
フェルナンド1世はカスペの妥協で選出されたアラゴン王です。1419年の時、ブランカは32歳、フアンは22歳でした。
1425年に父が死去した際、男子がいずれも夭折していたため、長女であるブランカがナバラ王位を継承し、夫フアンもナバラ王となった。
ここまではまあいいです。私の弟マルティンの子マルティーノもシチリア女王と結婚して彼女の死後もシチリア王でいました。でもこのフアンは・・・許せないです。
2人は1男三女をもうけた。カルロス(1421ー1461)、ファナ(1423ー1425)、ブランカ(1424ー1464)レオノール(1426ー1479)で、1441年にブランカが死去した後、夫が単独のナバラ王となった。だが、ブランカが遺言で王位を長男カルロスに譲ると表明したにもかかわらず、フアンが王位を譲らなかったため、父子は対立し内戦が勃発した。
同じフアンという名前ですが、私はこのフアンがしたことは許せません。どうして遺言通りに王位を長男に譲らずに、我が子と対立して内戦にまでしてしまったのですか!私の子は幼い時に亡くなり、マルティンは立派に成長した我が子を失う悲しみをそれぞれ体験しています。王位に執着して我が子と対立するなど信じられません。
フアンは1444年にフアナ・エンリケスと再婚、1458年に兄アルフォンソ5世の王位も継承してアラゴン王フアン2世となった。
ファナ・エンリケスと再婚した時フアンは47歳、ファナ・エンリケスは19歳です。
我が子と対立して内戦となり、再婚して別の後継者を作ろうとする、なんか嫌な話ですね。
長男カルロスは1444年に父がファナ・エンリケスと再婚したこともあって父との関係が悪化、これに父と対立するナバラ貴族が味方したため、カルロスは父に対し挙兵したが敗れて投獄、脱走して伯父のアラゴン王兼ナポリ王アルフォンソ5世の下へ逃れた。
余も父フリードリヒ2世と対立して反乱を起こしたが、これはまた事情が違うようだ。
1458年に伯父が亡くなり父がアラゴン王も継ぐとシチリアへ移住、1460年に父から和睦の誘いがあり応じたが、カルロスがカスティーリャに内通していたことが発覚、和睦が取り消されたカルロスは再び投獄された。父に反発していたカタルーニャが抗議したため、1461年に釈放されバルセロナで市民に歓迎されたが、同年に王位の継承を果たせずに死去した。肺結核が原因だったが、継母に毒殺されたとの噂も流れていた。
カルロスの妹ブランカはカスティーリャ王子エンリケと結婚するも離婚され、父フアン2世によってモンカダ塔に監禁され、1464年に謎の死を遂げます(父による毒殺という噂も)
同じフアンとは思えない、フアン2世は酷い人間です。我が子と争ってまでナバラ王位を手放さず、我が子を毒殺までしている。なぜそこまで王位に執着するのでしょうか?
ナバラ王位は結局妹のレオノールが継ぐことになります。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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