バルセロナ、グエル邸
文字数 1,382文字
私はこう見えて鑑識眼があるのです。生きている時は芸術や文芸の復興に力を入れていました。不真面目王というあだ名をつけられましたが、何もしなかったわけではありません。その私から見ても、このステンドグラスは素晴らしいです。色のバランスや人物の描き方、高い芸術性があります。
フアン1世は神聖ローマ皇帝ルドルフ2世に似ているかもしれません。政治が嫌になって趣味の世界に没頭していた、時代や状況が違うからルドルフ2世ほどのコレクションはできなかったけど、きっとそういうことをやりたかった人だと思います。そのフアン1世がグエル邸は絶賛していました。
私はシチリアに30年住み、キリスト教徒だけでなく、イスラム教徒、ユダヤ教徒など異教徒の作った建築物や彫像なども数多く見てきた。だが、この変な物体は全く理解ができない。人間なのか神なのか、それとも別の世界に住む者なのか。誰がなぜ、なんのために作ったのか、考えれば考えるほどわからなくなる。