アジャンクールの戦い(2)

文字数 1,708文字

アジャンクールの戦いについての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
フランス軍の作戦を、ヘンリー5世は捕虜からの情報で正確に把握していた。そこでヘンリー5世は、全ての弓兵に約1.8mの長さの杭を持ち運ぶように命じた。杭は両端を尖らせ、フランス軍の重装騎兵が来たときに、地面に打ち込むことで騎馬突撃を難しくさせることを目的としていた。ヘンリー5世は杭を持ち運ぶ戦術を、1396年のニコポリスの戦いから着想したと言われる。ニコポリスの戦いでは十字軍の騎馬突撃にイェニチェリの弓兵が無数の杭を地面に打ち込んで対抗した。この戦術をヘンリー5世は発展させたのだった。ヘンリー5世はV字になるように中央に下馬騎士による部隊を、左右に弓兵による部隊を配置した。
ニコポリスの戦いは、余の弟でハンガリー王のジギスムントがヨーロッパ諸国を率いてオスマン帝国と戦っている。結果は悲惨でヨーロッパ諸国軍は負け、多くの戦死者が出て、たくさんの捕虜が殺された。
オスマン帝国の真似をヘンリー5世はしたわけですね。先を尖らせた杭を持ってきて地面に埋め、そこに重騎兵が突撃したらどのような状況になるか想像してみてください。人間ではなく悪魔が考える作戦です。
綿密な作戦を立てたドルー伯だったが、フランス軍の指揮系統は乱れていた。フランス軍が動かないことを見たヘンリー5世はイングランド軍を動かし、午前中半ばには弓の射程距離内であるアジャンクールの最も狭い場所まで前進した。ここでイングランド軍の弓兵は杭を打ち込み、その後に敵の軽率な行動を誘うように射撃を開始した。
酷い作戦です。このようなことをしたらもはや騎士道精神に則った戦いではなく、罠にはまって多くの命が失われることになります。
イングランド軍の弓兵の攻撃に対応して、フランス軍の重装騎兵が両翼から攻撃をはじめた。だが、狭い地形で待ち構えたイングランド軍に重装騎兵は当初の作戦の通りに回り込むことができなかった。泥濘状態だった地面と彼ら自身の重装備は騎行速度を鈍らせ、イングランド軍の敷設した杭と降り注ぐ矢に阻まれて、ほとんどの重装騎兵は反転して逃れるしかなかった。その結果、重装騎兵は徒歩でイングランド軍に向かう下馬騎兵と歩兵の大部隊の進路を妨害し、混乱を生み出した。フランス軍の投射兵は活用されることなく、前衛の後ろに置かれていた。
想像してみてください。重装騎兵が泥沼と杭と矢の中で悲惨な状況になります。敵と戦う前に混乱の中で負傷し命を落としてしまうのです。
このような状況で命を落としたらさぞ無念であろう。
フランス軍の歩兵攻撃は無秩序かつ混乱状態にあったため、イングランド軍に損害を与えることができなかった。下馬騎士と歩兵の大部隊は遠距離ではイングランド軍の弓兵によって消耗され、近距離では待ち構えていたイングランド軍の下馬騎士によって撃退した。主力が敗れたことを見たフランス軍は逃走をはじめた。イングランド軍は弓兵ですらフランス軍本隊に押し寄せ、多くの貴族や騎士を捕虜にした。戦闘は1時間ほどで大勢が決したが、フランス軍の1部隊がイングランド軍の背後に回り込んで輜重車輛を略奪したため、ヘンリー5世は降伏したフランス軍の捕虜が再び戦闘に参加しないよう殺すことを命じた。その後は虐殺となり、イングランド軍の完全な勝利に終わった。
フランス軍の兵士の多くがこのような状況で死んだことを思うと痛ましいです。
ヘンリー5世とイングランド軍は悪魔です。捕虜を虐殺するなんて酷過ぎます。今にきっと天罰が下ります。
戦後、イングランド軍は当初の目的であるカレーへの帰還を果たした。フランス軍は大敗し、総指揮官であるドルー伯は戦死、元帥ブーシコーも捕らえられた。戦死者は1万人を超え、捕虜も3人の公爵、7人の伯爵、220人の大貴族、1560人の騎士を出す有様だった。当時、パリを掌握していたのはアルマニャック派であったが、この敗戦によって勢力を弱め、ブルゴーニュ公ジャン(無怖公)率いるブルゴーニュ派が国政を握ることになった。しかし、イングランド軍に対しては有効な手を打つことができず苦境が続くことになる。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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