マルティン・ルター(11)

文字数 1,260文字

マルティン・ルターについての続きです。作品集は下の画像から入って下さい。
「聖書に書かれていないことは認めることができない」というルターの言葉は、重税を負わされて苦しい生活を送っていた農民に希望を与えることになった。そもそも農民が領主に仕えることも聖書に根拠を見出せないというのである。かつてルターの同志であったトマス・ミュンツァーはこういった人々のリーダーとして社会変革を唱えるようになっていた。ドイツの農民暴動自体は15世紀後半から頻発していたが、ルター説を根拠に農民たちが暴力行為に走ると、ルターはミュンツァートと農民たちを批判し、二人は互いに攻撃しあうようになった。さらに再洗礼派の過激な教説も農民暴動の火に油を注ぐ結果となった。
なんか大変なことになっていますね。
ルターは自分の言葉がどのような結果を引き起こすか深くは考えてなかったようです。カトリックの制度を批判すれば、不満を持っていた民衆がそこに飛びつきます。ドイツの場合はただ不満を持っていたという以上に農民は生きるか死ぬかのギリギリの状況に置かれていた、だからこそ過激な暴動になってしまうのです。
1524年、西南ドイツのシュヴァーベン地方の修道院の農民たちが、賦役・貢納の軽減、農奴制の廃止など「12ヶ条の要求」を掲げて反乱を起こし、これは隣接地域へ瞬く間に広がっていった。これが1524年から1525年にかけて起こったドイツ農民戦争である。ルターは初めはローマ殲滅戦を扇動していたが、次第に路線をめぐり党派に分裂する中、ルターは反乱側にではなく、市民・貴族・諸侯の側について暴徒の鎮圧を求め、民衆には平和な抵抗を訴えるようになる(この平和な抵抗の路線についてはすでにさかのぼること1520年『ドイツ国民の貴族に与う』で示されていた)
ルターは結局カトリックの制度は批判してもドイツ国内の諸侯や貴族の権利まで批判して崩そうとしたわけではなかったのですね。
ルターは路線変更後の1525年、『盗み殺す農民に対して』において「親愛なる諸卿よ、やれるものは誰でも彼ら(農民)をたたきつぶし、絞め殺し、刺し殺せ。(...)狂犬を撲殺しなければならない」と農民の殺害を煽動するほどであった。宗教改革を成功させるためには、世俗の権力と金力が必要だった。
怖ろしいです・・・
ルターの鎮圧支持を受けた領主たちはシュヴァーヴェン同盟を中心として農民暴動を鎮圧し、首謀者たち(?)を殺害した。ミュンツァーも捕らえられて処刑された。これにより反乱の主要地域であった南ドイツにおいてはルター派は支持を失い、またルターの説からそもそもこの反乱がおこったこともあって、ドイツ農民戦争時におけるルターの言動は結果として彼の評判を傷つけることになった。ルターはこの苦い経験から教会と信徒に対してやはり何らかのコントロールが必要であると考えるようになった。こうして領邦教会という新しい教会のあり方がうまれていく。
多くの人が殺されておびただしい血が流されていく中で宗教改革は進められていたのですね。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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