フランス王ルイ7世(13)

文字数 1,007文字

フランス王ルイ7世についての続きです。作品集は下の画像から入って下さい。
幼少期から口数の少ない読書好きで思索にふける子供で、修道院で培われた生真面目で信仰心の篤い性格は生涯変わらず、アリエノールと結婚した時点では女性への接し方も知らず、結婚後も性を忌避して夫婦の交わりを少なくして、妻よりも祈りを優先してアリエノールを失望させた。
ルイ7世のこのような性格や態度はラミロ2世にもよく似ていると思います。
しかし勇敢な一面も見せ、結婚直後にアリエノールの勧めでタルモン=サンティレールを訪問した際、誘拐を狙ったタルモン城主ギヨーム・ド・ルゼの部隊に襲われ無我夢中で抵抗、撃退してアリエノールを喜ばせた。第2回十字軍でもカドムス山の戦いで奮戦、劣勢の中でセルジューク軍に抵抗してフランス軍壊滅を避けた。
ルイ7世が実際の戦いで活躍することができたのは、まだ若い頃に王太子となり王となったから覚悟ができていてそれなりに訓練も受けたからだと思います。ラミロ2世は四十代後半まで修道院で暮らし、自分が王になることなど全く考えてなかったから馬に乗ることもできず戦いにも出られなくて貴族たちに馬鹿にされ各地で反乱が起きました。そしてラミロ2世は『ウエスカの鐘』と呼ばれる粛清を行った、戦うことができない王がそれでも国を守り王家の血を伝えたいと願っての決断でした。
父の代から始まった国王のパリの長期滞在はルイ7世の時代でも続いたことで、パリはフランスの首都に位置付けられ、統治機構の整備やサン=ドニ修道院とパリ大学の存在もあり、パリは政治・宗教・文化の中心地として発展した。
ルイ6世とルイ7世の時代にパリはフランスの首都として発展したのですね。
一方、ルイ7世はアリエノールが北フランスに広めた南フランスの文化を嫌い、離婚した後は払拭に取り掛かり(十字軍で国内が疲弊して、文化人を雇えない財政問題もあった)騎士道物語と恋愛詩が宮廷から追放され、文法・論理学・修辞学など修道院の教育が宮廷の主流になっていった。アリエノールとの間にできた2人の娘には厳しく教育、アリエノールの奔放な気風に染まるのを恐れ長女マリーの結婚は1164年まで許さなかったが、皮肉にもマリーは結婚した後はポワティエへ行き母と再会、文芸のパトロンとして大成した母と同じ道を歩むことになる。
ルイ7世とアリエノールの結婚と離婚はフランスの文化にも大きな影響を与えたようです。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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