フアン1世はなぜ不真面目王になったのか

文字数 1,333文字

今日は2000字小説に新しく『フアン1世の家族』を投稿しました。作品のページには下の肖像画から入ってください。
滅多に登場しない私の小説を書いてもらえてうれしいです。
アラゴンの歴史は日本人には知られていないと聞いている。ハイメ1世のように波乱万丈の人生の王ならともかく、アラゴンの中でも地味なフアン1世を小説に書いて日本で需要があるのか心配になってくる。
確かにフアン1世のことは日本では知られていません。でもフアン1世が不真面目になってしまった理由は現代の日本に当てはめても考えさせられるところがあります。
フアン1世がああなった原因の1つに父ペドロ4世の再婚があると思います。ペドロ4世は58歳、フアン1世が27歳の時に4度目の結婚をしています。
私はその結婚には反対しました。
反対して当然です。20代後半なら王位を継いでもおかしくない年齢、そんな時に50代の父が再婚するなんて子は反対するに決まってます!特に王家は相続がややっこしくなります。
現代の日本でもその年代の再婚は相続問題が絡んでくるので反対されることが多いです。
そしてペドロ4世の時代には戦争で活躍するチャンスがありませんでした。
戦争で活躍するチャンスがないとはどういうことだ。レコンキスタはもう終わったのか?
いえ、まだ終わっていませんが、どちらかというとアラゴンは地中海に進出しています。そしてスペインではカスティーリャのペドロ1世残酷王との戦争が19年も続きました。
ペドロ1世残酷王は日本では漫画の主人公になっているのでけっこう有名です。
ペストの流行もあって、この戦争は決着がつかないまま19年もダラダラと続いてしまいました。多感な少年時代にこのような状況を見てしまい、フアン1世は夢を持てなくなってしまったのです。
確かに私の時代は戦争がダラダラ続いて、戦士として活躍するという夢は持てなくなっていました。
そしてフアン1世が王としての自立を阻まれた最大の原因は、父ペドロ4世が長生きしすぎたということです。本来なら王位を継ぐ年齢の頃父は再婚するほど元気でその後10年近く生きた。フアン1世が王になったのは37歳の時です。
そしてフアン1世は王になる前に何度も我が子が亡くなるという悲しい体験をしました。最初の王妃で5人、2番目の王妃で7人の子が生まれますが、結局育ったのは娘2人だけでした。
娘を女王にするということは考えなかったのか?余には娘が1人いただけだが、アラゴン王家の血はつないだ。
子供は次々に生まれていたが、結局育たなかった。それでも跡継ぎとなる男子が生まれ、立派に育ってくれると信じていた。だからこそ王妃に見捨てられないために常にへりくだっていたら、いつの間にか宮廷は王妃とその寵臣に牛耳られるようになっていた。
フアン1世について調べると、本人がそういう性格だったというよりも、父王が長生きして逆らえなかったり、生まれた子が次々亡くなるなどして無力感がつのり、趣味に逃げてしまったように思います。
そしてフアン1世のように不幸が重なって無気力になった人、日本にもたくさんいます。不真面目王フアン1世について小説を読むことで、無気力になってしまう原因を考えるきっかけになってもらえればうれしいです。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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