異端審問(4)

文字数 1,805文字

異端審問についての話の続きです。作品集には下の写真から入ってください。
Comenzaban con una procesión de las autoridades civiles y eclesiásticas y finalmente los condenados, vestidos con ropas infamantes llamadas sambenitos, palabra que es una deformación de "saco bendito".
行進は市の権力者と聖職者から始まり、最後に歪んだ文字で『祝福された魂』と書かれた不名誉な中傷のための服を着せられた刑を宣告された者たちが続く。
Se leían las condenas, y aquellos destinados a la pena de muerte, eran entregados al brazo civil de la justicia.
刑が読み上げられ、死刑を宣告された者は世俗の裁判官に引き渡される。
A los que se mantenían firmes en sus ideas se les quemaba vivos.
最後まで信念を守り続けた者は生きたまま焼かれた。
Si el condenado se arrepentía, primero se le estrangulaba y después se quemaba cadáver.
もし刑を宣告された者が悔い改めれば、最初に首を絞められて殺され、それから死体が焼かれた。
Si el condenado conseguía escapar o se hallaba  en paradero desconocido, se le quemaba en efigie junto con su obra escrita si así había difundido sus ideas.
もし、刑を宣告された者が逃げていたり居場所がわからない場合は、彼が思想を広めようとして書いた本が肖像画と一緒に焼かれた。
Si se trataba de una persona que ya había muerto, sus restos eran desenterrados y llevados a la hoguera.
もし、その人物がすでに死んでいたならば遺体を掘り出して火刑場まで運んだ。
今回翻訳した部分は異端審問について書いてある部分の中でも1番ショッキングな内容でした。でも2000字短編小説で書いたフェリペとアラゴン王家の物語が16世紀のスペインを舞台にしているので、異端審問は大きなテーマになっています。
レコンキスタが終わったあとは、イスラム教徒とユダヤ教徒への追放令が出され、迫害は厳しくなった。それに1517年にルターの宗教改革が始まり、スペインではルター派プロテスタントへの迫害も凄まじいものになった。
小説に登場する亡霊はいずれもその時代で評価されなかったり異端にされた人ばかりです。
余は兄が2人いて修道院で育ちながら47歳の時に王位を継ぐことになった。貴族達に馬鹿にされ各地で反乱が起きたので『ウエスカの鐘』と呼ばれる粛正を行った。戦争で敵を殺せば英雄だが、キリスト教徒の貴族を騙し討ちのような形で殺した余の魂が救われることはない。
余はフリードリヒ2世の長男として生まれながら教皇にそそのかされて反乱を起こしてしまった。目を潰されて幽閉され、不治の病にも罹ってしまった余は6年後に馬と一緒に谷底に身を投げて自ら命を絶った。
余はレコンキスタの英雄でありながら、南フランスでの領土を巡る争いの中、カタリ派に味方をして教皇から破門され、異端者のまま戦死してしまった。
私は大きな理由があったわけではありませんが、宮廷を王妃とその寵臣が牛耳るに任せて国の財政を傾かせ、死んだ時に王にふさわしい立派な棺を作ってもらえなかったという理由で亡霊になってしまいました。
それぞれの理由で亡霊になってしまった彼らが、ユダヤ人でキリスト教徒とは違う価値観を持つフェリペと出会うことで、癒されたり自信を取り戻すという物語です。
でも僕はユダヤ人の血を引いているために様々な苦労をします。
異端審問の話は、ここで書いている小説の中で、避けては通れない問題です。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色