エンツォと獄中の詩

文字数 819文字

今日は新しく『エンツォと獄中の詩』を書きました。小説は挿絵から作品集に入ってください。
正直、僕は連日の外出で少し疲れていた。
フェリペ!君は毎晩夜遊びしていたのか。
これには深いわけがあります。
余がわけあって彼を連れまわしていた。余にはもう残された時間があまりなかった。
エンツォはハインリヒ7世の兄弟の仲では比較的明るい人かなと思いました。世継ぎという重圧がないし、シチリアで育っているので、1番父皇帝の考えも理解できたようです。
育った場所で性格は大きく変わってくる。
シチリアについてでしたら、私にも言わせてください。シチリアは古代から多くの民族が住み付いた場所です。フリードリヒ2世がいた時代もそうでした。王はシチリアで育ったからこそアラビア語も習得していて、アラブ人の王と手紙のやり取りもしていた。でもそれが教皇には気に入らなかったのであろう。
教皇と皇帝の争いが、ハインリヒ7世他兄弟の悲劇の原因になったと思います。
余の父上、サンチョ・ラミレスはローマまで行って教皇との結びつきを強固なものにした。教皇と争うなど信じられない。
それは時代によって違う。余はフランスでカタリ派の味方をしたとして破門にされてしまった。
十字軍の時代以降、教皇は大きな権力を持つようになりました。でもキリスト教徒の間ではあまり知られていませんが、十字軍では虐殺と略奪が繰り返し行われました。
これ、フェリペ。そのようなことを大きな声で言ってはいけない。
話をエンツォに戻します。彼は父フリードリヒ2世に1番よく似ていました。おそらく彼が父に1番かわいがられていたと思います。
嫡子より庶子をかわいがるとはけしからぬ。余の父上は同じ嫡子の間でも、長男と末弟の余とでは差別していた。
まあいろいろな事情があったと思います。父にかわいがられたと言っても、エンツォも20年以上囚われの身で、そのまま亡くなっているからあんまり幸せではなかったです。
王様の家族もいろいろ大変だニャー。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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