ミゲル・セルベートの家(1)

文字数 1,144文字

今日は『スペイン旅行の写真』にミゲル・セルベートの生まれた家、カサ・ナタルで撮った写真を紹介しています。作品集は下の写真から入って下さい。
このカサ・ナタルは500年前にミゲル・セルベートが実際に住んでいた家です。彼の出身地ヴィジャヌエヴァ・デ・シヘナは歩いてまわれるほどの小さな村で交通も不便、モンソンから車で40分ぐらいかかり、タクシーで行きました。
この家は改修されて2011年、ミゲル・セルベート生誕500年の時から土日だけ一般公開されています。でも私はきちんと連絡をとっていなかったので、その日は記念式典があるからと言われて、中に入れてもらえませんでした。
それを人込みに紛れて入り、写真だけでもと思って入り口付近を撮りました。そして本を買ったりしてウロウロしていたら、1人のおじいさんに手招きされて2階に案内されました。
2階ではおじいさんがスペイン語で一生懸命説明してくれる、ほとんどわからないけどわかるふりして説明を聞いていました。2階には当時の薬瓶や薬草を詰めたタンスなどが展示されていました。
この部屋を見て私は大きな感銘を受けた。私らの時代は修道院が病院の役割もはたしていたが、こんなふうに広い部屋を使って薬瓶や薬草が整理されていたわけではない。
確かにそうだ。我々の時代は使っている薬や薬草はそんなに多くはなかった。
僕の暮らしていた修道院の中には本格的な病院もあったので、このような薬や薬草を保管する部屋もありました。ニコラス先生に教えてもらったのですが、薬草の種類は多過ぎて全部は覚えられませんでした。
私達の時代は、アジアやアメリカから珍しい植物も入ってきたし、ギリシャの古典も読み直してより的確な薬を選べるように研究も進んだ。
実際の私は式典が始まる前にできるだけたくさん写真を撮っておきたいと思っていたのですが、意外にも古い時代の亡霊の方々はこういう展示にすごく興味を持ったみたいです。
ルネサンス位の新しさが直接目で見て感動できるからちょうどいい。それ以上新しい時代のものは我々の目には見えなくなる。
ニコラさんとかものすごくはしゃいでいました。
僕たちの時代には病院に当たり前に置いてあるものが、古い時代の亡霊の方にとっては珍しく感動的なものになるのですね。
それは亡霊にもよる、余にとっては薬瓶や薬草よりもモンソン城の中の鎧や騎士団の衣装の展示の方がよほどおもしろかった。
現代を生きる私と亡霊の方々とでは同じものを見ても感じ方に差があるようです。
ああ、なんて素晴らしい。この家に泊まりこんでじっくり見学したいくらいだ。
正直言って、私自身はこうした展示物にすごく感動したわけではなかったのですが、ニコラさんは感激したようです。
私が1番感動したのは壁にあったこのパネルの方です。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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