ヴェンツェルが仲間入りする
文字数 1,490文字
性格の悪さだけならともかく、余は聖職者を殺しているという罪が気になる。余も子供の頃から修道院に入れられ、戦う術を知らずに生きてきた。無抵抗の、しかも後に列聖されるような立派な人物を拷問にかけて殺すとは、その罪はあまりにも大きい。
難しい問題だ。修道院にいる時は、悩み迷える者はみな暖かく受け入れるように言われてきた。だが、王になった時に昔の師匠に相談したら、成長しすぎて飛び出したりはみ出したキャベツは刈り取るようにと教えられた。
ここに集まった者はみなはみ出したキャベツだ。高貴な生まれながら過ちを犯し、救われない人生を生きて死んでからも亡霊としてさまよっていた。まっとうに生きられた者は亡霊になどなったりはしない。だが余はフェリペと出会い一緒に旅をする中で自分の人生を考え、受け入れることができた。その時が来るまでここにいればよい。