モンソン城への熱い思い

文字数 1,215文字

先日『スペイン旅行の写真』でモンソン城について紹介したのですけど、ここにいる亡霊の方々のモンソン城への思いはまだまだあるようなので、語ってもらうことにしました。作品のページは下の写真から入ってください。
実際に行って見たモンソン城は美しい壁の装飾とか庭園などは全くなく、殺風景な場所です。でもラミロ2世とかはすごく喜んでいました。
余が生きていた時代からモンソン城はアラゴンの領土内にあったが、修道士である余が訪れたことはなかった。それは王になってからも同じだ。
テンプル騎士団の者とは何度も会って一緒に戦ったりもした。だが、モンソン城はアラゴン領土内にあったが、テンプル騎士団の拠点になっていたため、王でも気軽に訪れることはできなかった。
テンプル騎士団の拠点になっていたから、アラゴン王国内にあっても、そこだけ別の国のようになっていたということですか?
まあそういうことだ。戦争の時もアラゴンの軍隊は余が直接指揮を執るが、テンプル騎士団の軍隊はそこの上官にまかせていて、余は口出しできなかった。
同じ国内にあっても、モンソン城はテンプル騎士団の団員が住んでいて、全く違った生活をしていたわけですね。
モンソン城はイスラム教徒が作った城だが、戦いのための城としてよい場所を選び、完璧なつくりとなっている。
戦いのための城だから、現代人から見ると観光地としてあんまりおもしろくないのですけど・・・
城というのは本来そういうものだ。頑丈に作られているから、昔の姿がそのまま残っている。装飾や庭園などは城には必要ない。
モンソン城は僕が行った時にはもう人は住んではいませんでした。でもだからこそ独特の雰囲気がありました。古い時代のものが持つ威厳とか・・・
余がモンソン城に行った時は目が見えず、手足も不自由だった。仮面をつけてフェリペの手を握り、少しずつ歩いていた。余は生きていた時、最後の6年は暗闇と絶望のどん底にいた。だがモンソン城に向かって歩いていた時、光に向かっているような気がした。そしてあのキリストの像の前にたどりついた。
モンソン城の上についてキリストの像の前に来た時、ハインリヒ7世は突然消えてしまったから驚いたし悲しかった。
あの時は自分の身に何が起きたか自分でもわからなかった。だが今ならわかる。フェリペの存在とモンソン城が余に奇跡を起こし、キリストの像の前が亡霊としての旅の終着点となった。
もし訪れた場所が宮殿のようなところだったら、奇跡は起こらなかったとか。
余は6年間暗闇と孤独と絶望の中で生きていた。余を捕らえた父上、そそのかした教皇、味方になると言いながら裏切った諸侯、全ての者を恨み、憎みながら生きていてそれは亡霊になってからも続いた。だが、あの道でそういう感情がすべてなくなり、ただ光に向かって歩いているのを感じた。そして奇跡が起きた。余はモンソン城で救われた。
私にはよくわからないのですが、モンソン城はすごいところみたいです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色