ダンジュルーズ・ド・リル=ブシャール(3)
文字数 849文字
ポワトゥーを旅行している間に、アキテーヌ公ギヨーム9世は魅惑的な人妻ダンジュルーズに出会った。そして、ギヨーム9世のもとに連れられてダンジュルーズは夫の元を去り、互いに正式な配偶者がいたにもかかわらず結婚してしまった。この「誘拐」により教会から破門されている。しかし彼女は、件のギヨーム9世一行の目の前に自ら姿を現したともされている。
ギヨーム9世はダンジュルーズのため、ポワティエの居城の敷地内にモーベルション塔を設置した。そして、歴史家であるマームズベリのウィリアムの説明によれば、アキテーヌ公は自身の盾にダンジュルーズの姿絵も描いたとされる。
ギヨーム9世の2人目の妻フィリッパ・ド・トゥールーズが実家トゥールーズからポワティエに帰還した際、夫の愛妾ダンジュルーズが城の敷地内に住んでいるのを発見して激怒し、アキテーヌの宮廷で彼女の友人と教会に訴えた。しかし、ギヨームが封建制における大君主であったため、臣下の貴族達は彼女に手を貸すことはできず、そして教皇の立法者ジローがギヨーム9世に、ダンジュルーズを夫シャテルロー副伯エメリー1世の元に返すように命じた際、単調な議会に対し、ギヨームの返答は以下の一言だけであった。
「余がシャテルロー副伯夫人と別れるより貴殿の頭の巻き毛が伸びる方が早かろう」