血液の肺循環説(1)

文字数 1,243文字

ミゲル・セルベートに関するエッセイの中で、『血液の肺循環説』について書いたので、ここでもカサ・ナタルの2階で撮った写真とパネルを中心に話題にしてみます。下の写真から作品集に入ってください。
わー、懐かしい。ニコラス先生の病院もこんな感じだね。
そう、私達の時代はまだまだ医者の仕事は人体について詳しく知るというよりも、薬草などの知識があるということが重要だった。
修道院という場所は、医学の知識も伝えていた。余も医者ではないが、修道院長として一通りの医学の知識は持っていた。
私はカトリックの修道会に属していたが、医学に関してはイスラム教徒の方が広く深い知識を持っていた時代があった。私はアヴィセンナの本を読んで驚いた。
ニコラさんは禁じられていたイスラム教徒の本まで持っているから驚いたよ。僕は一生懸命そういう本は隠しておいた。
私はユダヤ人である叔父から医学の基礎を学んだ。ユダヤ人は伝統的に医者になる者が多かった。
余も怪我の手当ての仕方は知っているぞ。多くの戦場に行ったのだから。
では今日の話題のパネルの話をします。紫の部分はスペイン語、ピンクは日本語で書きますので、スペイン語が分かる方はぜひ紫の方だけ読んでください。
De sangre del hígado consta la materia del alma, mediante una maravillosa elaboración que ahora vas a escuchar.
肝臓にある血液はアルマが物質になったものであり、今から聞くことになる驚くべき方法で作られている。
Por eso se dice que el alma está en la sangre, y que el alma misma es la sangre o espíritu sanguíneo.
このことから、アルマは血液の中にあると言え、アルマは血液と同じ、または血液のスピリットと同じであると言える。
No se dice que el alma esté principalmente en las paredes del corazón, ni en la masa del cerebro o del hígado, sino en la sangre, como enseña Dios mismo.
アルマは主に心臓の壁にあるのではなく、脳の塊や肝臓にあるのでもない。血液の中にこそ存在し、神もまた同じことを示している。
スペイン語の部分を読むと、詩としても見事に語尾がそろっていて、繰り返しの言葉がうまく使われている。
ハインリヒ7世は歌の名手でもあるからね。僕は詩としても言っている内容もよくわからない。
今の君にはまだ難しいだろう。だがフェリペよ、君はこの先大学で医学を学べば、解剖を学ぶチャンスもある。私達の世代では知ることのできなかったことを知るチャンスが君にはあるんだよ。
それは楽しみですね。
長くなったので、続きはまた明日にします。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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