タンクレード(1)
文字数 998文字
タンクレードは善良公オドンとオートヴィルのエマの間に生まれた。弟にグリエルモがいる。エマは南イタリアを征服しオートヴィル朝シチリア王国(ノルマン朝)を創始したロベルト・イル・グイスカルドとその最初の妻アルベラダとの間に生まれた娘である。二人の間にはエマの他にターラント公ボエモン(後のアンティオキア公ボエモン1世)が生まれている。タンクレードはロベルトの孫、ボエモンの甥にあたる。
1096年、タンクレードは叔父であるターラント公ボエモン率いるノルマン人の軍団とともに第1回十字軍に参加した。弟のグリエルモも彼と共に参加している。コンスタンティノープルに到着したボエモンとタンクレードは東ローマ帝国皇帝アレクシオス1世コムネノスから圧迫を受ける。東ローマ帝国にとって、南イタリアやシチリア島を奪ったノルマン朝は宿敵であり、アレクシオス1世はノルマン人の参加に警戒感を隠していなかった。
アレクシオス1世は十字軍の指導者たちに対し、アナトリアやレバントで征服した土地をすべて東ローマに返す誓いを立てるように圧力をかけた。他の指導者たちは誓いを守らないつもりで宣誓を行ったが、タンクレードはこれを拒み、後にニカイアで皇帝に会った際、ボエモンに戒められてようやく宣誓を行った。