怒りを爆発させる

文字数 1,625文字

ミゲル・セルベートの伝記の中に、死刑判決が出た後で彼がカルヴァンと話して怒りを爆発させる場面がありました。作品集のページは下の写真から入ってください。
その場面をスペイン語と日本語の両方で紹介します。
Respuesto, la primera petición de Miguel Servet fue entrevistarse con Calvino.
落ち着きを取り戻したミゲル・セルベートは最初にカルヴァンと話し合いたいと要求した。
La entrevista la cuenta el propio Calvino diciendo que Miguel Servet quiso pedirle perdón, a lo que él (Calvino) respondió que todos sus esfuerzos habían sido la salvación de Servet y que había usado en todo momento de la benevolencia.
話し合いはカルヴァンの責任で行われ、カルヴァンはセルベートに、手紙の返事を含めて全ての傲慢な態度でしたことの過ちを認めて許しを乞うならば、今までのことは許して慈悲を与えると言った。
Servet explotó agraviado por mis buenos consejos.
セルベートは自分はよい助言をしただけだと怒りを爆発させた。
ここで問題になっている手紙の返事とは、7年前にカルヴァンの予定説についてセルベートが痛烈に批判したことです。この手紙がカルヴァンの逆鱗に触れて、密告や拘束され死刑判決を出される原因となり、そしてセルベートは自身の正しさを確信しているから怒りを爆発させ、死刑は確定してしまいます。
そこで皆さんにも怒りを爆発させた経験を聞いてみます。
修道院育ちの余は王になっても剣も握れず馬にも乗れない。そんな余を馬鹿にして貴族たちが反乱を起こしたから余の怒りは爆発した。反乱を起こした貴族達を呼び集め、斬首してその首を鐘のように高く積み上げた。
私は怒りが爆発するということはありませんでしたが、父上の再婚は頭にきました。
余はカタリ派の味方をして教皇に破門された時怒りが爆発した。何度も言うがカタリ派の教えに心酔したわけではなく、領土争いに巻き込まれただけだ。それなのに破門され異端者にされてしまった。
余は反乱をそそのかした教皇に対して強い怒りを感じている。捕らえられてからは目を潰されて幽閉され、不治の病にもかかった。余の人生は教皇のせいでメチャメチャにされた。
みんな何かしら強い怒りや絶望があったからこそ亡霊になったのだと思います。そしてそうした怒りや絶望はその本人だけでなく生まれ変わった後も影響を与えています。
それはどういうことだ?
例えば僕の場合、ハインリヒ7世の生まれ変わりだから教皇への恨みや幽閉され不治の病にかかった時の絶望を強く持っています。だから僕はユダヤ人でしかも特殊な教えを引き継ぐ父さんの子として生まれキリスト教社会を批判するようになりました。
なるほどそういうことか。
でも僕が何もわからず、ただキリスト教社会を批判するだけだったら、きっと殺されていたと思います。おそらくほとんどの人は生まれ変わる前の経験から怒りや絶望も引き継いでいる、でもその理由がよくわからずにモヤモヤしたり反抗的な態度を取って殺されるのだと思います。
余の生まれ変わりもどこかにいてモヤモヤしているのか。
ラミロ2世のような人はきっと何度も生まれ変わっています。
ああ、じれったい。早く余の生まれ変わりに出会って余の全てを伝えすっきりさせたい。
それはなかなか難しいことです。僕は運よくハインリヒ7世に出会えたので、キリスト教社会を批判するのではなく、病に苦しむ人を救おうと、別の目標を持つことができました。そしてよい人に引き取られました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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