モンソン(1)

文字数 957文字

『スペイン旅行の写真』に新しく『モンソン(1)』を入れました。作品集には下の写真から入ってください。
タイトルに『モンソン(1)』と書いてあるということは、続きがあるということですね。
ちょうどいいところで区切っているから、じれったくてしょうがない。
モンソンは『モンソン城の歌』など2000字小説シリーズの舞台にもなって表紙にもいろいろ使っている思い出深い場所だからです。
あの時は本当に楽しかった。
『モンソン城の歌』について簡単に説明します。僕とラミロ2世、ペドロ2世、ハインリヒ7世の4人は、ペドロ2世の息子ハイメ1世が育ったというモンソン城に行きます。
ペドロ2世は余のひ孫、ハイメ1世は孫の孫になる。ハインリヒ7世も同じく余の孫の孫で、ペドロ2世の甥にあたる。ハインリヒ7世の母コンスタンサはペドロ2世の妹である。
僕たちは修道士の服を着て、モンソン城に行きました。修道士ならばいつどこで人に見られても怪しまれないからです。でもラミロ2世とペドロ2世はモンソン城に着くなり喜んで先に行ってしまい、僕とハインリヒ7世だけが取り残されました。
余は反乱を起こして捕らえられ、王位をはく奪されて目を潰され幽閉された。そして不治の病にかかって体は不自由になり、仮面もつけられていた。
目が見えなくて体も不自由な子孫を置いて先に行ってしまうなんて、かなりひどい祖先です。
すまぬ。あまりにもうれしくてつい・・・
余も同じだ。
ラミロ2世はほとんど修道院の外には出たことがない人だから、喜んではしゃぐのはわかります。でもペドロ2世は何度も戦いに行っているから、ああいうタイプのお城は見慣れているはずです。
城だけならいろいろな場所で何度も見ている。だが、余が戦死した後で、幼い我が子ハイメ1世が育てられた場所だと思えば全く違う感動が沸き上がる。城壁を見ただけで、幼いハイメを思い出して涙が出そうになった。
2人が先に行ってくれたからこそ、余はフェリペと深い絆を結ぶことができた。そしてモンソン城は亡霊として訪れた最後の場所となった。
正直言って私はモンソン城に行った時はかなり疲れてテンション下がっていました。でもあの時ラミロ2世がそばにいてはしゃいでいるのを感じたし、きっと他の方もいたと思います。モンソンは小説の中で貴重な場所となりました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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