アルフォンソ4世(2)

文字数 1,567文字

百年戦争の頃はイングランドやフランス、カスティーリャなどは王家の中でも凄惨な争いや殺し合いがありましたが、アラゴンでは目立った争いはなく穏やかでした。でも本当にアラゴンだけが争いに巻き込まれずに平和だったのか気になって、フアン1世の祖父アルフォンソ4世から調べてみました。アルフォンソ4世の前半生は特に目立った争いもなく平和でしたが・・・
作品集には下の画像から入ってください。
1327年にテレサと死別した後、アルフォンソ4世は兄ハイメと縁談があったが断られていたカスティーリャ王アルフォンソ11世の姉レオノールと1329年に再婚した。
再婚した時、アルフォンソ4世は30歳、レオノールは22歳です。
ここでカスティーリャと婚姻関係を結ぶのは危なくないですか?しかも相手はペドロ1世とエンリケの父であるアルフォンソ11世の姉なのです。
結果として危なかったが、アラゴン王家とカスティーリャ王家の婚姻は昔から繰り返されてきた。余の母上もカスティーリャ王女であったから、余はもちろんハインリヒ7世にもカスティーリャの血が濃く流れている。
最初の結婚ならそれほど問題ないと思います。でもアルフォンソ4世は再婚でしかもこの時には10歳になる息子のペドロがいました。カスティーリャという強い隣国の王女が継母になったらペドロが危険です!
ペドロって父上のペドロ4世のことですか?私の知っている父上はもう立派な王で危険などということは想像もできません。
僕も父さんが再婚して継母と暮らしていたからよくわかります。僕は5歳の時に母を亡くして父さんはすぐに再婚してしまいました。僕は継母に苛められ、7歳の時に修道院の中にある孤児院に入れられてしまいました。継母というのは本当に怖ろしく邪悪な存在です!
フェリペよ、君はどうも後妻とか継母という言葉に過剰に反応するようだ。
レオノールと義理の息子になるペドロの関係がどんなものだったかはわかりませんが、アラゴン王アルフォンソ4世と結婚したレオノールの生涯は不幸なものでした。
1329年にアラゴン王アルフォンソ4世の後妻となったレオノールはフェルナンド(1329ー1363)とフアン(1330ー1358)を儲けた。前妻テレサ・デ・エンテンサの子であるペドロ4世が即位し、レオノールは息子たちを連れてカスティーリャへ帰国した。
1336年、アルフォンソ4世は36歳の若さで亡くなり、16歳のペドロ4世が即位します。29歳のレオノールは7歳のフェルナンドと5歳のフアンを連れてカスティーリャに帰国します。
王が亡くなって義理の息子ペドロ4世が即位したから、危険を感じてカスティーリャに帰国したのですか?
たぶんそうだと思います。そしてレオノールはアルフォンソ11世の死後カスティーリャ王となったペドロ1世と対立します。
1358年6月12日、レオノールの次男フアンがペドロ1世によって殺害された。1年後、レオノール自身もペドロ1世の命令で暗殺された。
カスティーリャのペドロ1世は残酷王の名前がついているだけあって、容赦しないで身内を殺していますね。
4年後、長男のフェルナンドも異母兄ペドロ4世によって処刑された。
処刑されたということはペドロ4世の王位を狙っていたということでしょうか?
よくわからないですが、これでレオノールの子はすべて殺されたことになります。
平和だと思っていたアラゴンでも、実はこうした王家の争いがあったのですね。
フアン1世大丈夫?
大丈夫です。私もアラゴン王家の王の1人です。自分が王になる前に何があったか、真実をしっかり知りたいです。
イングランドやフランス、カスティーリャなどに比べてアラゴンは凄惨な王家の争いが少ないと思ってフアン1世の祖父アルフォンソ4世について調べたのですが、やっぱりそれなりに事件はありました。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色