カール4世(5)

文字数 1,551文字

カール4世についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
1348年は全ヨーロッパにおいては黒死病(ペスト)が広まった年であるが、ここでカール4世は帝国内におけるユダヤ人迫害を阻むことができず、南ドイツのニュルンベルクではユダヤ人家屋の撤去とシナゴーグ撤去後の跡地への聖母教会(現・フラウエン教会)建設の許可を与えている。
これはまあ当時の状況を考えればしかたがないことだと思います。
一方、彼はボヘミア王としては、拡張したプラハ新市街への移民としてユダヤ教徒を歓迎し、関係法令でも移民の筆頭としてユダヤ人を掲げており、その姿勢には二重性が認められる。いずれにせよ、この時プラハではペスト感染の症例自体が少なく、ユダヤ人に対する差別や迫害も起こっていない。
この時のカール4世の態度は立派です。こうしたことを後の世代の人にももっとよく知って欲しいです。このような君主がたくさんいれば、ユダヤ人や異教徒に対する迫害はあそこまで酷くはならなかったはずです。
1349年、カール4世はヴィッテルスバッハ家との和解を成立させ、ようやくアーヘンでローマ王として改めて戴冠式を挙げた。同年、モラヴィア辺境伯の地位を同母弟のヨハン・ハインリヒ(ヤン・インジフ)に与えている。
対立した相手と戦争ではなく和解しているところが素晴らしいですね。
ヨハン・ハインリヒの子で従兄弟のヨープストにはかなり悩まされたが・・・
カール4世は1353年、ルクセンブルク伯位を異母弟のヴェンツェル1世に与え、爵位をルクセンブルク公へと格上げした。
1354年から1355年にかけてはイタリア遠征を行い、この間ミラノでイタリア王として戴冠、さらにローマではサンピエトロ大聖堂においてローマ皇帝として正式な戴冠を受け、教皇インノケンティウス6世との協約をむすぶことに成功した。両者は互いに双方の主権を尊重しあうことを確約し、皇帝は教皇庁からの干渉を排する代わりにイタリアへの干渉を放棄した。戴冠は1355年4月5日のことであり、カール4世はその日のうちにローマを離れた。
余の父上フリードリヒ2世は教皇と対立し、余は教皇にそそのかされて反乱を起こしてしまった。父上と教皇との対立がなければ、余の人生は違っていただろう。
ハインリヒ7世だけでなく、彼の異母弟や甥なども幽閉されたり処刑されたりと不幸な生涯を閉じました。皇帝と教皇の対立が原因です。だからカール4世は皇帝になり、教皇が昔の恩師ではなくなり別の人になってからもよい関係を築いたというのは素晴らしいことです。
また、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノなどの諸都市からは政治的妥協の見返りとして大金を供出させた。カール4世は、祖父・父あるいは歴代皇帝とは異なり、イタリアへの政治的介入をおこなわず、むしろ神聖ローマ帝国の平穏とボヘミアの発展に力を注いだのである。
私の生きた時代はどこの国も隙あらば王位を奪い取り、他国に干渉して侵略しようとする君主ばかりいました。カール4世のような皇帝は珍しいです。
ローマ王権にとって、教皇庁からの自由を確保することは神聖ローマ帝国における諸問題を解決していく上での前提となっており、カール4世はその確保に成功した。加えて百年戦争におけるフランスの劣勢は神聖ローマ帝国にとって西境情勢の好転を意味していた。戦争よりも外交に重きを置いたカールは、ハプスブルク、ヴィッテルスバッハ両家及び帝国諸侯らとの妥協にも成功したのである。
神聖ローマ帝国の統治、特にドイツは難しい地域です。ハインリヒ7世が統治がうまくいかず、父フリードリヒ2世に叱責されたことも反乱を起こす大きな原因となってしまいました。だからうまく妥協していい関係を築いたカール4世は本当にすごいと思います。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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