ポルトガル王フェルナンド1世(2)

文字数 1,797文字

ポルトガル王フェルナンド1世についての続きです。作品集のページには下の画像から入ってください。
1381年、再びジョン・オブ・ゴーントと同盟を結び、カスティーリャへ侵攻したが、再びカスティーリャ軍に侵入された上、同年にサルテスの海戦でも敗北した。この時の講和で、最初の王妃を亡くしていたカスティーリャ王フアン1世(エンリケ2世の息子)の後添えとして、レオノール王妃との間の王女ベアトリスが嫁ぐことに同意した。王にはベアトリス王女の他に嫡子がいなかったため、契約が両国間で取り交わされた。
この時の契約がとても細かいです。
1. ポルトガル王位はフェルナンド1世の嫡出男子が継承する。
フェルナンド1世としてはこれを1番望んでいたわけですよね。
2.嫡出男子のない時は、カスティーリャ王妃ベアトリスが王位を継ぐ。
カスティーリャ王フアン1世はこの状況を期待しています。
3. ベアトリスが嫡出男子を残さずに亡くなったら、フェルナンド1世の他の王女かその王女の嫡出子孫が継ぐ。
この場合でもポルトガル王位がカスティーリャに移ることはありません。フェルナンド1世は嫡男が生まれなくても王女ならまだこれから先生まれると期待したのでしょう。
4. フェルナンド1世に子孫がなく、ベアトリスに子孫がなかった場合、カスティーリャ王がポルトガル王位を継ぐ。
このパターンがカスティーリャ王フアン1世としては1番都合がいいです。
5. カスティーリャ王とその姉妹が嫡出子孫を残さず亡くなった場合、ポルトガル王がカスティーリャ王位を継ぐ。
これは前の4の契約があったから付け加えられたのであって、この時カスティーリャ王フアン1世には2人の王子がいたのだから、可能性はほとんどないと思います。
1383年10月22日、フェルナンド1世は嫡出男子のないまま死去した。死後、条約に基づきベアトリス王妃がポルトガル女王即位を宣言し、母レオノール・テレスが摂政となった。しかし、ベアトリスとフアン1世の結婚を取り持ったフェルナンデス・アンデイロ伯爵はレオノールの愛人であり、またポルトガル貴族の多くや国民たちはカスティーリャ人が国政の実権を握ることを嫌った。
この王妃レオノール・テレサはかなり怪しいですね。
王女ベアトリスのページに、このあたりの事情についてもう少し詳しく出ていました。
ベアトリス(1373ー1408)はポルトガル王フェルナンド1世と王妃レオノール・テレス・デ・メネセスの長女としてコインブラで生まれた。弟たちが次々と夭折したため、フェルナンドの後継者に指名された。貴族達の中には、ベアトリス王女の父親は王ではないのではないかという声が囁かれていた。
なんか酷いですね。
でもこういう王妃はフランスにもいました。
1383年にフェルナンドが重態となると、ベアトリスの摂政として実権を握ったレオノールは、前年に最初の王妃レオノール・デ・アラゴンと死別したカスティーリャ王フアンに、ベアトリス王女との結婚とポルトガル王位の譲渡を持ちかけた。愛人アンデイロ伯爵と結託して国政を牛耳るレオノールは、カスティーリャ王を取り込むことで自らの実権の強化を図ったのである。
王妃レオノールはフランスのシャルル7世の母とよく似ていますね。自分の実権を強化するためには国を売り渡すこともためらわない・・・
2人の王妃は本当に怖ろしいです。シャルル6世の場合は政略結婚でしょうけど、フェルナンド1世は自分で選んでいる、どうしてこういう女を王妃にするのか、見る目が全くないですね。
ポルトガル王位に釣られたフアンはこの案に同意し、1383年5月17日にエルヴァスで11歳のベアトリスと結婚した。
カスティーリャ王フアン1世の2人の子はその後それぞれカスティーリャとアラゴンの王になっています。その上さらにポルトガル王位も狙うとは欲張りです。
フェルナンド1世は1383年の10月に没した。レオノールは義理の息子フアン1世とベアトリス女王の摂政となった。しかし、外国人に実権を売る事態にポルトガル国民と貴族達は怒り、アヴィス騎士団団長でフェルナンド王の庶弟にあたるジョアンが圧倒的支持を得て反乱を起こした。
フェルナンド1世も本当に愚かです。変な女と結婚して王妃にしたばかりに、国は滅亡の危機に立たされています。
この危機を救ったポルトガル王ジョアン1世について、次回話題にします。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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