コンラート4世

文字数 1,405文字

今日の話題は新しく2000字ファンタジーに投稿した『コンラート4世』についてです。小説のページは下の肖像画を押して入ってください。
ところでコンラート4世って誰ですか?
私は歴史には随分詳しいつもりだが、コンラート4世は知らなかった。
ヒントその1、エルサレム王でもあります。
エルサレム王国の王様ってたくさんいるからよくわからない。
ヒントその2、シチリアで生まれた。
なになに、シチリアなら私も30年間住んでいたが、時代はかぶっているのか?
多分かぶっていると思います。
新作の紹介でそんなにもったいぶるな。正解は余の異母弟だ。フェリペ、そなたは余と一緒に会いにいったのにもう忘れたのか?
あ、すみません。あの時の少年と肖像画が全然似てないので、気が付かなかったです。
小説の中では文字数が足りなくてハインリヒに聞けなかったのですけど、庭師ってなんですか?
庭師は庭の手入れをする者に決まっている。花を植えたり木を切って形を整えたりする。そんなことも知らないのか?
僕たちの住むスペイン、特にアラゴン地方は庭師ってあんまりいないと思います。雨が少なくて乾いた土地が多いから、美しい庭園を作るよりも、糸杉とかオリーブのようなほっといても大きくなる木を植えると思います。
確かにアラゴンのお城はモンソン城とか本当に質実剛健で写真映えしない、もちろん庭園もないです。スペイン全土がそうとは言わないけど、少なくとも私がまわったアラゴンのお城は庭師は必要なさそうです。
今回の話題はスペインに庭師がいるかどうかの問題ではない。余の異母弟コンラート4世についてだ。異母弟というからには当然母親が違う。余の母はアラゴン王女だったが、コンラート4世の母はエルサレム王国の女王であった。
ハインリヒ7世もコンラート4世も血筋はすごくいいのですよね。でも幸せではなかった。コンラート4世は生まれたその日に母親だ亡くなっているし・・・
私達の時代もそうだが、出産は命がけだった。母子が亡くなったり、母親だけ亡くなるということもよくあることだった。だが自分が母親の命と引き換えに生まれたと知った子の気持ちはどのようなものか・・・
コンラート4世はハインリヒ7世以外、唯一の嫡子だけど、会った時あんまり幸せそうではなかった。嫡子でも庶子でも王家にはそれぞれ悩みがあるようだ。
どうもさっきから話を聞いていると、ハインリヒ7世やコンラート4世の父フリードリヒ2世は子育てがあまりうまくないように思える。余の父上、サンチョ・ラミレスの子育ては見事であった。長男を後継者としてきっちり育て、引き継ぐ前に王国を部分的に統治させ実践的に学ばせている。いきなり子供の時に王にして遠くに放り出したりしていない。
でもそれは国の広さや時代が違うから仕方がないと思います。
そして何よりも教皇と対立したのがよくない。フリードリヒ2世は有名になったが、彼の子や孫で、天寿を全うした者は誰もいない。皆若くして死んでいるか、それとも不幸な死に方をしているかのどちらかだ。
でもどうしてハインリヒ7世がコンラート4世に会いに行ったか、僕にはよくわからない。自分の立場を脅かす異母弟になんて、僕なら絶対に会わない!
余の人生は終わり、そなたの人生は始まったばかりだ。なぜ余がそなたを連れてコンラート4世に会いに行ったか、その答えはいずれわかるであろう。
にゃんかよくわからにゃーい。人間の心は複雑だにゃー。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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