亡霊はコメディと相性がいいのか?

文字数 1,089文字

5月になってから2000字コメディ小説を書いているのですが、思いがけず反応がよくて驚いています。亡霊はコメディと相性がいいのでしょうか?作品のページには下の肖像画から入ってください。
余は自分がコメディに向いているとは全く思っていない。生きている時は40代後半まで修道士としてまじめに生き、王になってからは『ウエスカの鐘』の粛清を行い、怖れられてきた。余の人生に笑いの入る余地はない。
同じく余の人生にも笑いはない!だが、亡霊になってからのラミロ2世の行動を見ていると、わが祖先ながらあまりにも世慣れていないところにハラハラする。
ラミロ2世に悪気はなく、基本的にとても善良でよい亡霊だということは僕もわかっています。でも出て来る場所や状況をもっと考えて欲しいです。
生きている人間の戦闘訓練を見るチャンスは滅多にない。だから思わず興奮して前に出てしまうのだ。
余から見れば、あれは戦闘訓練なんてものではない。ただの子供のお遊びだ。あの程度のお遊びであれだけ興奮できるラミロ2世がむしろうらやましい。
ペドロ2世から見れば子供のお遊びかもしれないけど、僕は真剣でしたよ。だってお金を払って護身術の学校に行かせてもらったのだから、それなりの成果を出さなければと・・・
フェリペは昔から真面目な子であった。
子供のお遊びなんてとんでもない。余にとっては亡霊になってから400年近くも待ち望んでいた貴重な経験だ。一瞬も目を離したくないからついつい近くによってしまった。
だからそれが迷惑だって!亡霊の姿が見えるのは僕だけだから、下手に大声出したら他の先生や子供たちに変な子だと思われてしまうし・・・
ラミロ2世もフェリペも基本的に真面目で善良です。悪気はないけど亡霊と人間の感覚のズレがあるので、笑い話になってしまうのです。
余は亡霊になってからも人間と大きなズレがあるとは思っていない。生きている時の経験を生かしてフェリペにアドバイスしようと思っていたのに、ラミロ2世が邪魔をするからそれもできなかった。
アラゴン5代目の王ラミロ2世を邪魔者扱いするのか!
そういう意味ではないです。
亡霊は特定の人間にしか見えないし、生きている人間とは感覚が違うから、そのズレが笑いになります。特にラミロ2世は長い間修道院に暮らしていたから、空気を読むとか人に合わせるということが全くできない。その超天然なところ、コメディの主人公としてピッタリです。
褒められているのかけなされているのかよくわからない。
ほめています!これからもシリアスからコメディまで幅広い演技ができる、アラゴンを代表する王様の亡霊としてがんばってください。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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