まさか!不真面目王が人気急上昇中!

文字数 1,232文字

今日は修道院について、スペイン語を交えて余から説明する予定であったが、作者から急なお知らせがあるそうなので、また今度にする。
なんと、私の書いた小説の中で、フアン1世の人気が急上昇中なのです。
フアン1世とはどういう王なのだ。アラゴンの血筋らしいが・・・
本人に自己紹介してもらいます。
私の名前はフアン1世、1350年に生まれて1396年に死んでいる。父ペドロ4世と仲が悪く、自分の結婚や父の再婚で対立した。芸能を愛好し、文化の振興に貢献したが、政治面は妃ビオランテとその寵臣らが牛耳るにまかせ、結果として家臣らの不満が増大し、浪費により王室は財政難に陥った。1396年、狩りの最中に死去したが、財政難のため王にふさわしい棺をつくることができなかったという。2人の妻との間にもうけた男子はすべて夭折して、王位は弟マルティン1世が継承した。
何この自己紹介、ほとんどウィキペデアの丸写しじゃない。
他に言うことがない。
なぜこのような情けない王の人気が上がるのだ。
今までは余が人気ナンバー1だった。悲劇的な生涯で主人公の少年との絆も深い。ファンレターをもらったのも余が初めてだった。それなのになぜ人気ナンバー1の座を不真面目王に奪われなければならないのだ。
大丈夫です。まだまだハインリヒ7世の人気は高いままです。ハインリヒ7世についてはまた後でゆっくり説明します。
本人にもまるでわからない人気急上昇の秘密はなんだ?
それは1枚の写真がきっかけです。
もったいぶらないで早く教えてくれ。
そうだ、そうだ。元々この小説は余が主人公だったのに、なぜ余を差し置いてハインリヒ7世やフアン1世の人気が高まるのだ。ハインリヒ7世についてはわからないでもない。だが、不真面目王と呼ばれた王になぜ人気が集まる?
その秘密はこの写真にあります。
真ん中に写っているのは私だとわかるが、右側の少年は誰だ?
フランスの100年戦争を終わらせたことで名高い勝利王シャルル7世とその家臣様です。作者様が偶然ランキングで私の小説とその作者様の小説が隣になった瞬間を狙って撮ってくださったものです。
それはわかったが、その勝利王シャルル7世と私はどういう関係がある?
シャルル7世がまだ即位する前で不遇だった時、娘の婚約者として王子を支えた女性がいます。その人の名前はヨランド・ダラゴン、アラゴン王女ビオランテです。
私の娘ビオランテが将来の勝利王を支えていたのか。それならばこれから私はフランスの歴史を大きく変えた勝利王が義理の孫だと名乗ることにしよう。
それは娘ビオランテの功績でそなたのものではない。そもそもそなたは勝利王が生まれる前に死んでいる。勝利王には何1つ関わっていない。
ラミロ2世はずいぶん冷たいですね。子孫の名前が知られるのを素直に喜べないのですか?
どうせ余は「ウエスカの鐘」の粛正を行った冷酷非情な王だ。
歴史の中では無名な人物が有名人と繋がることもあるのだにゃー。


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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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