クラウディオス・プトレマイオス(9)
文字数 1,001文字
プトレマイオスの著作『ゲオグラフィア』(Geographia、地理学)は、地球球体説に基づいた最古の体系的な数理地理学書で、古代の人々の地理に関する知識を集成したものである。本書には緯度の測定方法などの測量に関する理論、球面を平面に投影して図示する様々な方法が説明され、地球の周長(子午線一度分の長さ)や各地点の緯度や経度といったデータが治められている。また、地中海世界の各地域ごとの地図と世界地図を載せている。これは世界で初めて経緯線を用いたものである。
10世紀後半から11世紀になると、継続的な天体観測から地中海のサイズはほぼ正確に見積もられる。この知識は、イベリア半島内で作成された殆どの地理データ表に反映された。しかし、この知識が一般化することはなかったようであり、このため後に中国についての地理的な情報が付け加えられたとき、その場所が実際よりも大幅に東に位置づけられてしまった。このため、約1,000年後の大航海時代、クリストファー・コロンブスは「東よりも西方に航海したほうがアジアへは近道である」と考えてアメリカ大陸を発見することになる。
なお、本書は地球の周長の値を1800スタジオンとし、それを「(一般に)受け入れられている値」としている。距離の単位「スタジオン」が時代や地域によって長さがまちまちであるため、現代の計測結果との比較は難しいが、大きく見積もっても誤差は数割程度で、また原理的には正しい計測方法を用いている。