シチリア女王マリア

文字数 1,580文字

今日はフアン1世の弟マルティン1世の子マルティーノと結婚したシチリア女王マリアについて紹介します。作品集には下の肖像画から入ってください。
このチャットノベルでは珍しい可愛らしい感じの女性ですね。
マリア(1363ー1401)の父はフェデリーコ3世、母はアラゴン王ペドロ4世の娘コスタンツァです。つまりフアン1世やマルティン1世の異母姉にあたり、マルティーノとは従妹になります。
1337年、マリアがまだ若い時に父フェデリーコが死んだため、シチリア王国は事実上4つの有力貴族に支配されるようになります。
マリアの父フェデリーコ3世の家系をさかのぼるとアラゴン王ペドロ3世とシチリア王マンフレーディの娘コスタンツァになります。
おおー!余の異母弟マンフレディの血がここまで流れていたのか。余の異母弟はみな不幸な最期を遂げた。だがシチリア王の中にその血は残り、そしてマリアはマルティーノと結婚した。
フアン1世、そなたの弟マルティンはなかなかやるではないか。息子のマルティーノをアラゴンの血も受け継ぐシチリアの女王マリアと結婚させた。
1390年、27歳のマリアはアラゴンに連れて行かれ、マルティーノと結婚します。マルティーノは1374年頃に生まれているので、16歳ぐらいです。
1390年といえば私フアン1世が40歳の頃、父上ペドロ4世が亡くなったのが1387年なので、私がアラゴン王になっていました。
まさか甥のマルティーノがシチリア女王と結婚するという時まで狩りに行ってはいないだろうな。
当たり前です!甥の結婚は私にとって、いえアラゴン王家にとってもとてもめでたいことですから盛大に祝いました。
マルティーノが16歳でマリアが27歳、結構年は離れていますね。
王家の結婚ではよくあることだ。余の母上が再婚した時も25歳、父上フリードリヒ2世は15歳だったから10歳年上であった。
何度も繰り返すが、当時のアラゴンはフランス風の宮廷文化を誇る先進国であった。余の妹コンスタンサは大勢の女官、吟遊詩人、騎士などを連れてパレルモに入城し、シチリアに洗練された宮廷文化を持ち込んでいる。
1392年に18歳のマルティーノは老マルティン、マリアと共に軍勢を引き連れてシチリアへ侵攻し、反対する諸侯を破っています。
弟のマルティンは息子と名前が同じだったので老マルティンと呼ばれていますが、この時はまだ36歳、全然老人ではないです。
36歳で18歳になる息子がいて一緒に戦った。うらやましいことだ。
それ以後、マルティーノは1401年にマリアが亡くなるまで共同君主としてシチリアを統治します。
シチリア女王マリアが38歳で亡くなった後、1372年にバルセロナ家とアンジュー家の間で結ばれていたヴィルヌーヴ条約というのがあったのですが、マルティーノ1世はそれを無視して単独でシチリアの統治を続けます。そして1403年には後にナバラ女王となるブランカと結婚します。
こうした話を聞くと、フアン1世の弟マルティンとその息子マルティーノはかなり野心的だったように思える。シチリア女王マリアと結婚してシチリア王になり、さらに後のナバラ女王とまで結婚している。余の子孫でも2人の女王と結婚した者は他にはいない。
フアン1世は不真面目王と呼ばれていますが、弟のマルティンやその子供は積極的に動いてシチリアの王となっている。その時の王はフアン1世だったのだから、フアン1世だって何もしないで狩りばかりしていたというわけではなかったような気がします。
そうですよ。私はともかく弟のマルティンや甥のマルティーノはかなり野心的で積極的に動いていました。でも私も弟のマルティンも後継者を残せなかったために忘れられた存在になってしまいました。
そしてアラゴン王家とシチリア王家を調べると、両家の間には強い結びつきがあることがわかりました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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