ジギスムント(1)

文字数 1,586文字

ヴェンツェルの異母弟ジギスムントについて紹介します。作品集には下の画像から入ってください。
これは16世紀の画家アルブレヒト・デューラーの描いたジギスムントの肖像画です。ローマ皇帝、ボヘミア王、ハンガリー王、ルクセンブルク公など5つの紋章が描かれています。
ジギスムントは余より7歳年下の異母弟である。
僕にもちょうど7歳年下の異母弟がいます。僕の母が亡くなってすぐ父さんは再婚し、僕は継母に苛められました。そして異母弟が生まれてから僕は修道院に入れられたので、彼に罪はないとわかっていてもずっと恨んでいました。
ジギスムント(1368ー1437)の父はローマ皇帝カール4世、母は4番目の妃でポーランド王カジミェシュ3世の孫娘エリザベート。ニュルンベルクで生まれた。ローマ王ヴェンツェルの異母弟。
カール4世とジギスムントは皇帝という称号を持っているのにヴェンツェルはローマ王だけ、その違いはどこにあるのですか?
教皇に戴冠されたかどうかの違いだ。余も教皇に戴冠してもらうために妹のアンナをイングランドのリチャード2世と結婚させたが、戴冠式は実現しなかった。
アンジュー家出身のハンガリー王兼ポーランド王ラヨシュ1世は東欧に「大アンジュー帝国」とも呼ぶべき一大勢力を築いたが、男子に恵まれず2人の娘を残して1382年に没した。ラヨシュは遺言で長女マーリアを、ルクセンブルク家出身で神聖ローマ皇帝兼ボヘミア王カール4世の息子の1人であるジギスムントと結婚させ、両王国の共同統治者とするものとしていた。
遺言によってハンガリーとポーランド、2つの国を手に入れられるとはジギスムントはかなり恵まれていますね。
いや、そうではない。ジギスムントはすんなり2つの国を手に入れたわけではなかった。
これに対してポーランド貴族(シュラフタ)は、マーリアの妹ヘドヴィグ(ヤドヴィガ)を女王に推戴して同君連合を解消する。ルクセンブルク家はポーランドの宿敵であるドイツ騎士団の支援者だったからである。
アラゴンも同君連合の国で、私フアン1世はアラゴン王、バレンシア王、バルセロナ伯の称号を持っていました。
ハンガリーでも王位継承を巡って混乱が起きていた。1385年9月末、ジギスムントはオーフェンでハンガリー女王マーリアと結婚したが、この結婚式に賛成したハンガリー貴族はラツクフィ家などごくわずかで、大部分の大貴族(マグナート、代表的なのがハンガリー南部を支配するガライ家とホルヴァティ家)は反対していた。特にホルヴァティ家は、アンジュー家の同族であるナポリ王カルロ3世に王位に就くように要請し、カルロもこれに応える形で軍を率いてハンガリーに侵攻し、ハンガリー王カーロイ2世として即位する。
私の生きていた14世紀後半はいろいろなところで王位を巡る争いがあったのですね。
カーロイ2世の簒奪に対し、ジギスムント側に寝返った副王ガライ・ミクローシュとマーリアの母エルジェーベトは共闘してカーロイ2世を殺害した。ホルヴァティ家は新たにカーロイ2世の遺児ナポリ王ラディズラーオを新たな王に立てようとし、さらには和平に赴いたマーリアの一行を襲った。結果、ガライは殺され、エルジェーベトは獄死し、マーリアは幽閉された。
なんか凄い話になっていますね。
後にガライ家とホルヴァティ家は和解し、マーリアも釈放されたが、その代償としてジギスムントは大貴族と同盟して統治する義務を課せられ、これが破られた場合は大貴族が武力を行使することさえ認めさせられた(公式的同盟)しかも、内戦中にハーリチをポーランドに奪取された。このような犠牲を払いながらも、1387年にジギスムントは自らも晴れてハンガリー王として即位した。ただし、ナポリ王家との抗争は後々まで尾を引くことになる。
異母弟のジギスムントはヴェンツェル以上に複雑な状況の中で生きたようです。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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