カスペの妥協(1)

文字数 1,256文字

マルティン1世の死後、アラゴン連合王国の王位継承者がいなくなり、1412年に各国代表の決議があって、トラスタマラ家のフェルナンド1世が後継者に選出されました。作品集は下の画像から入ってください。
この絵は王冠を授かるフェルナンド1世というタイトルでプラド美術館にあります。
余の孫アルフォンソ2世から続いたバルセロナ朝はここで途絶えたのか。
その時の有力な候補者について順番に紹介します。年齢は1410年末時点です。
同じ色ばかりでは読みにくいので、余が候補者について説明していく。
ルナ伯ファドリケ(1402ー1438、8歳)マルティン1世と王妃マリア・デ・ルナ(1358ー1406)の唯一の男子であったシチリア王マルティーノ1世の庶子。王妃マリアと同じルナ家出身の教皇ベネディクトゥス13世がファドリケを正当な継承者として認めていた。
教皇ベネディクトゥス13世は教会大分裂の時の対立教皇です。
ルナ伯ファドリケはマルティン1世の孫ですよね。庶子で立場は弱くてもマルティン1世からすれば孫に王位を継がせたいと考えるのではないかな。
私もそう思います。我が子マルティーノの血を引く孫ファドリケを可愛がっていたと思います。弟のマルティンがはっきり後継者として定めて遺言を残していればよかった、でもまだまだ嫡子が生まれるという期待があったのでしょう。
余の祖父でアラゴン王国建国の祖ラミロ1世も庶子であった。父、あるいは祖父である王がはっきり後継者として定め遺言を残していればマルティン1世の孫であるルナ伯ファドリケが王位を継ぐことができたかもしれない。
ウルジェイ伯ジャウマ2世(1380年ー1433年、30歳)アルフォンソ4世の男系の曾孫で、マルティン1世が王国の長官職に任命していた。マルティンの従兄の子にあたり、またマルティンの異母妹イサベル(1380ー1424、30歳)と結婚していた。
アルフォンソ4世というのはペドロ4世の父です。
ウルジェイ伯ジャウマ2世というのが私とマルティンにとっては祖父にあたるアルフォンソ4世の曾孫だから王位継承権があるというのはわかりますが、異母妹イサベルというのはもしかして・・・
はい、ペドロ4世が1377年に最後に結婚したシビラ・デ・フォルティラ(1350ー1406)の子供です。
やっぱり父上の最後の結婚は王位継承をややっこしくしていました。だから私は反対したのです!
ウルジェイ伯ジャウマ2世は王位に近付くためにペドロ4世の娘と結婚したのかな。
知りませんよ。父上が58歳で再婚してものすごく気分を害しました。だから異母妹のイサベルとか彼女と結婚したウルジェイ伯ジャウマ2世とか大嫌いです!
フアン1世がかなり感情的になっている。
遺産相続もそうですけど、王位継承権の場合はもっと複雑ですね。
父上ペドロ4世が複雑にしているのです!あちらこちらの国に自分の娘である王女を嫁がせ、自身も再婚しているからこんな面倒なことになるのです!
アラゴン王位を要求した人は他にもいるのですけど、ここで1回区切ります。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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