ブルゴーニュ公フィリップ3世(3)

文字数 2,129文字

ブルゴーニュ公フィリップ3世についての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
一方、王太子の姑ヨランド・タラゴンが善良公に接触すると徐々にフランスへと歩み寄るようになり、1424年9月に王太子と善良公は休戦協定を結び、善良公は王太子をフランス王と認め両者の和睦に一歩近づいた。
ヨランド・ダラゴンは私の娘です。
ヨランド・ダラゴンはフアン1世とは全く似ていない。
僕はヨランド・ダラゴンがなぜここまで一生懸命シャルル7世のために尽くすのかわからないです。アルテュール・ド・リッシュモンをシャルル7世に紹介したのもヨランド・ダラゴンでした。シャルル7世に必要な人物とうまく交渉して集めている、娘を王妃にしたいという気持ちがあっても、普通はここまではしないと思います。
リッシュモンが王太子の側近になり父の暗殺犯などアルマニャック派の強硬派を処罰したため進展したと思われたが、王太子の寵臣ジェルジュ・ド・ラ・トレモイユと対立して1428年に宮廷から追い出され、ブルゴーニュとフランスの交渉も中断された。
フランスの宮廷は複雑ですね。うまくいくと思っても邪魔したり裏切ったりする者が必ず出て来る、私の娘ヨランドは苦労したと思います。
このような状況を見て取ったベッドフォード公は同年10月からオルレアン包囲戦を敢行、ブルゴーニュを戦争に引きずり込もうとしていた。
ベッドフォード公ジョンはヘンリー4世の3男でヘンリー5世の弟になります。彼はフィリップ3世の妹アンヌと結婚していました。
しかし、1429年5月にジャンヌ・ダルクがオルレアンでイングランド軍の包囲網を破り、6月にパテーの戦いでオルレアン周辺のイングランド軍が掃討され、7月にランスで王太子が戴冠式を行ってフランス王シャルル7世を称する頃になると形勢は逆転し始めた。
ジャンヌ・ダルクの活躍でシャルル7世が有利となり、戴冠式も行われたのですね。
善良公はシャルル7世が派遣した使節と交渉して8月に再び休戦を誓い、将来の和睦に向けた予備交渉まで定め、フランスと争うつもりがないことを表明した。
フィリップ3世は本当に卑怯です。シャルル7世の方が勝ちそうだから慌てて味方のふりをしているのです。ブルゴーニュの一族はみんなそうです。彼らが考えるのはいかに自分が得するかであって、良心や道徳心などは彼らにはかけらもありません。
冬から1430年まで善良公は3度目の結婚準備に追われ、シャルル7世が北フランスで紛争を煽り善良公を牽制するなどしていたため、出兵する余裕はなかった。シャルル7世と休戦協定の期限は1430年3月までだったが、水面下で両者は互いに相手の出方を窺いつつ警戒していた。
一向に協力しない善良公に苛立ったベッドフォード公は1430年5月にコンピエーニュ包囲戦を実行、善良公はフランスとの休戦が切れたこともありイングランドの顔を立てるため参戦したが、戦いは敗北に終わり、善良公の配下のリニー伯ジャン2世はジャンヌを捕えてイングランド軍に引き渡した。
ちょっと待ってください!ジャンヌを捕えてイングランド軍に引き渡したのはブルゴーニュ公の配下の者だったのですか?
ジャンヌが捕らえられた時の様子について、ラミロ2世に読んでもらいます。
リニー伯ジャン2世がコンピエーニュ包囲戦に参加した際、1430年5月23日に自身の従士がジャンヌ・ダルクを生け捕りにした。コンピエーニュに陣取るシャルル7世派の軍勢に彼女を奪回される恐れがあったため、ジャンは自分の居城ボールヴォワール城にジャンヌ・ダルクを連行し、伯母と妻に彼女を監視させることにした。ジャンの許には百年戦争の全ての陣営からジャンヌ・ダルクの身代金支払の申し出が舞い込んだ。主君のブルゴーニュ公フィリップ3世は、同盟者のイングランド陣営に身柄を引き渡すように求めた。
ジャンヌ・ダルクは捕らえられた直後は捕虜として扱われ、身代金支払いの申し出もあった。でもブルゴーニュ公フィリップ3世はイングランド陣営に身柄を引き渡せと言ったのですね。
ジャンの同居する伯母ジャンヌ・ド・リュクサンブールはシャルル7世の名付け親だったこともあってジャンヌ・ダルクに同情的で、甥が彼女をイングランドに引き渡すことに反対した。伯母はジャンに、もしジャンヌ・ダルクをイングランド人に売り渡せばリニー伯領の相続権を剥奪するとまで脅しをかけたが、9月18日に死去した。結局相続権剝奪の恐れのなくなったジャンは、ボーヴェ司教ピエール・コーションおよびパリ大学の要求に応じて1万リーヴル・トゥールノワの身代金と引き換えにジャンヌ・ダルクをイングランド人に引き渡した。
ブルゴーニュ公フィリップ3世に善良公というあだ名がついたのは間違いですね。彼は善良とは正反対の人間です。ジャンヌ・ダルクをイングランド人に引き渡したらどうなるか、彼自身よくわかっていたはずです。それでも自分の立場をよくするため、そしてシャルル7世への復讐のために悪魔に魂を売り渡しています。ジャンヌ・ダルクを殺したのはイングランドとフィリップ3世のはずなのに、義理の孫シャルル7世が彼女を見殺しにしたというレッテルを貼られてしまいました。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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