ジョルダーノ・ブルーノ(8)
文字数 1,135文字
コペルニクスの宇宙論も決して完全なものであったわけではなく、古代以来の概念を多く継承していた。たとえばプトレマイオスからは惑星が球面上に固定されているという考え方を受け継いでいたが、その不可解な動きの原因は地球の公転であることは見抜いていた。また、コペルニクスは宇宙には不動の中心が存在するという概念も持ち続けていたが、中心にふさわしいのは地球よりも太陽であると考えていた。恒星はかつて天球上に貼り付けられているため地球から等距離にあると信じられていたが、そのことについてコペルニクスは特に言及していない。
ブルーノの主張でもっとも画期的だったものは「地球自体が回転しており、それによって地球上からは見かけ上天球が回転しているように見える」ということであった。ブルーノはまた、「宇宙が有限であること」あるいは「恒星は宇宙の中心から等距離に存在している」と考える理由はないとした。
宇宙については様々な天文学者が惑星や恒星の動きを観測する中でそれぞれ独自の考えを出してきました。でもブルーノは天文学者のように観測をしたわけではなく、頭の中で考えただけで宇宙についての画期的な考えを出したというのはすごいことだと思います。
ブルーノの宇宙論は先行するトーマス・ディッグスの1576年の著作『天界論』とも共通する部分がみられるが、ディッグスは中世において信じられていたように、恒星天の外側が神と天使の世界であると考えていた。またディッグスは宇宙の中で地球だけが生命と知性の存在しうる場所であること、不変の天界に対して地球だけが変化する世界であると考えた。
トーマス・ディッグスはイギリスの天文学者で、1572年にティコ・ブラーエの発見した新星(SN1572)の視差を測定し、新星が月の軌道よりも遠くにあることを確かめて、その時代まで信じられていた宇宙観である恒星の天球は不変であるという説を否定しました。また1576年に父親の著作にいくつかの項目を追加して『天体軌道の完全な記述』でニコラウス・コペルニクスの地動説をイギリスに初めて紹介しています。