亡霊と出会ってよかったこと

文字数 1,293文字

今日は亡霊と出会ってよかったこと、というテーマで話をします。作品集には下の写真から入ってください。
僕はアラゴン王家の亡霊たちと出会って、人生が大きく変わりました。特にハインリヒ7世と出会ったことで医者になりたいと考えるようになりました。
余の人生が影響を与えたというのか。
はい、ハインリヒ7世は反乱を起こして王位をはく奪され、目を潰されて幽閉されている間に不治の病にもかかってしまいました。その苦しみがどれほどのものだったか、想像すると胸が痛いです。だから僕は病に苦しむ人を助ける医者になりたいと思いました。
勉強熱心なフェリペを見て、私は助手として働かせてもらえるように医者や学者の友人に手紙を書いた。その中で1人の医者の友人が彼を養子として引き取りたいと申し出てくれた。これは私にとってとてもうれしいことであった。
それからラミロ2世、ペドロ2世に会ってアラゴンの歴史に興味を持つようになりました。
それはうれしい。
アラゴンの歴史と言えばやっぱりレコンキスタの英雄ペドロ2世であろう。
僕の生きている16世紀、アラゴンとカスティーリャはスペインとなり、レコンキスタも終わりました。スペインはカトリックの大国になり、新大陸にも行って日の沈むことがない国となり栄えました。でもあちらこちらで人を殺し、異端審問でスペインは最も残酷な国と呼ばれるようになりました。
そうか、アラゴンはカスティーリャと一緒になってスペインと呼ばれるようになったのか。ナバラはどうなった?
ナバラ王国は16世紀前半までは独立国でしたが、フランス王となったアンリ4世の母がナバラ女王であったため、ナバラはフランスに併合されました。
僕たちの時代は、スペインがいかに強い力を持った国であるか強調されていましたが、血塗られた歴史でもあります。アラゴン初期の歴史は忘れ去られようとしていました。
現代の日本で世界史で習うのはスペインとなった後の時代、アラゴンやカスティーリャについて詳しく知ることはほとんどありません。
でも僕はラミロ2世やペドロ2世と出会って、王が純粋な信仰心を持ち、理想の国を作ろうとしていたアラゴンについてもっと多くの人に知ってもらいたいと思うようになりました。僕がユダヤ人で迫害される立場にいるということもありますが、スペインは大国になるほどに虐殺や迫害を行う怖ろしい国になったような気がします。
私はスペイン旅行中に王家の亡霊の方々と出会って、古いお城に行くのが楽しくなりました。モンソン城とか本人はさびれていると感じたのですが、亡霊の方々は大喜びでした。自分とは違う感性で旅行先の景色を見られるというのが、亡霊と知り合う大きなメリットだと思います。
逆にガウディとか新しい時代の建築物を見ても、彼らはあまり盛り上がってはくれませんでした。
新しい時代のものはよく見えないし、たとえ見えてもそれが素晴らしいとは感じないのだ。我らは古い時代に生きた亡霊だから、その時代の価値感で美しいものだけを美しいと感じるのだ。
彼らと一緒に旅行して、後から写真を見ると昔の大聖堂とかお城などさびれた場所ばかりたくさん行ってました(笑)
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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