異端審問(5)

文字数 1,661文字

異端審問についての続きです。作品集には下の写真から入ってください。
Con la aparición del protestantismo, la persecución alcanzó también a los seguidores de las ideas de Lutero,
プロテスタントの出現により、すぐにルター派の信者も同じように迫害されたが、
pero luteranos y calvinistas también tuvieron su propia inquisición, tan rigurosa o más que la de Roma y la ejercieron con la misma crueldad.
ルター派やカルヴァン派は彼ら自身の異端審問所を持ち、それはローマカトリックと同じかそれ以上に残酷なことをするようになった。
プロテスタントは教皇を頂点としたローマカトリックの聖職者の腐敗を批判することから始まった。だが、彼らもまた同じように異端審問という制度を作り、敵とみなす者を抹殺していた。
異端審問とは少し違いますが、ドイツでは魔女狩りも多く行われ、ケプラーのお母さんも魔女として密告され、処刑はされませんでしたが、拷問で体を痛めつけられて釈放されてから半年後に亡くなりました。
歴史を変えるほど広まった宗教や思想で虐殺をしていないものはあるのですか?
宗教が政治に利用されれば必ず虐殺も起きる。プロテスタントの側は信者を増やさなければすぐに抹殺されてしまう。信者を増やすためには地獄への恐怖を掻き立て、救いを約束するのが1番効果的だ。
異教徒や宗派の違う者を残酷に殺して地上を地獄にして脅し、そのような目に合わないためにも自分たちの宗教、宗派に入ればいいと勧めるわけですね。
余の父上サンチョ・ラミレス王も宗教を政治に利用した。生まれたばかりの小さな国アラゴンを大きな国にして国民の気持ちをまとめるためにも、キリスト教の制度を整えることが必要だった。だが、父上が整えた国の制度は余の時代で1度崩れた。信仰心は深まっても王に力がなければ貴族たちは王を馬鹿にして反乱を起こした。だから余は『ウエスカの鐘』の粛清を行った。
ラミロ2世の前でこんなこと言うのは悪いけど、『ウエスカの鐘』の効果は絶大でした。それからは貴族も王を怖れて反乱を起こさなかったし、ペトロニーラと結婚したバルセロナ伯だってラミロ2世が怖いからきちんと約束を守ったのだと思います。人を支配するには恐怖を与えるのが1番です。
人を支配する時、残酷さは有効な武器になる。だが、神は本当にそんなことを望んだのだろうか。人間は互いに争って殺し合い、正しい者だけが生き残ればいい、そう考えたわけではない。だからこそ神はイエス・キリストを通して残酷さで支配する世界を変えようとした。それなのに人間は、神の言葉を都合のいいように解釈して残酷になってしまった。
ニコラさんの考えはキリスト教徒の修道士として非常に危険です。
そんなことはわかっている。だから私は生きている時は自分の考えをまとめたり宗教批判をすることはしないで、修道院長として生涯を全うした。だが私はいつか私の疑問を受け継ぎその考えを発展させてくれる者が生まれるのではないかと、ずっと地上に残り続けた。
ああもったいない。そなたは徳の高い修道士として人生を全うし、天国へ行く条件を満たしていながら地上に残ったのか。ここに集まる余の子孫は様々な事情があって天国に行くことができず、亡霊となってさまよっている者ばかりなのに・・・
自分が救われると信じている者が地上を地獄にしてさっさと天国に行ってしまった。残された我々が人間に働きかけ、人間の意識を変えていくしかない。
なんか難しい話が出ていますね。
フェリペよ、君は16世紀のスペインでユダヤ人として生まれ過酷な運命を背負ってしまった。だが、異なる価値観を持っているからこそ、この世界を変える思想を生み出せるかもしれない。私は君に期待している。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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