ターナーの描いた『レグルス』

文字数 1,145文字

『フェニキア文字とヘブライ文字』でポエニ戦争について書いているのですが、最後にカルタゴの捕虜になったローマ軍の指揮官レグルスについて書いています。作品集には下の画像から入ってください。
これがターナーの描いた『レグルス』です。
これがターナーの自画像です。
ターナーという画家は自画像が1番上手い気がする。他の絵の人物はぼやけているのに、自画像はしっかり描いている。
『カルタゴを建設するディド』もそうだったけど、ターナーという画家は人物を描くのはうまくないです。僕の生きた時代には人物を描くのがうまい画家がたくさんいます。この絵も主役のレグルスがどこにいるのか、さっぱりわかりません。
私はこの『レグルス』という絵を『ターナー展』に行って実物を見ています。画像や画集ではわかりにくいのですが、この絵はものすごく眩しい絵です。
確かに眩しい光が描いてある。アラゴンでは決してこのような眩しい光は見られないであろう。
僕たちが住んでいるスペインのアラゴン州とカルタゴのあったチェニジアは光の強さが全然違うのですか?
ターナーが生まれ育ったイギリスはスペイン以上に晴れの日が少なくていつもどんより曇っています。だからターナーがイギリスで描いた絵はほとんど曇り空です。でもイタリアに行って眩しい太陽を見て、夢中になって眩しい光の絵を描きました。
それならばこの絵はターナーが求めた光の絵の頂点、もっとも眩しい朝日の景色を描いているのですか?
『レグルス』というタイトルがなければこの絵は平和な漁村に朝日が昇る風景に見えます。でも『レグルス』というタイトルが怖ろしいのです。
カルタゴの捕虜になったローマの指揮官レグルスは象に踏みつぶされての処刑とか釘を打ち付けた樽に入れられたとか様々な話が伝えられています。
ターナーの絵に描かれたレグルスは、瞼を切り取られて暗い部屋に閉じ込められます。そして急に強い光の中に連れ出され、瞼を閉じることも手で目を覆うこともできないまま、目が強い光にさらされて失明してしまうのです。この絵はレグルスが見た最後の光で、光によって光を失う瞬間を描いた絵です。
なんという怖ろしい絵だ。余は反乱を起こして王位をはく奪され目を潰された。だがこのような方法ではない。眩しい光によってジリジリと目が焼かれ失明するとはなんと怖ろしい拷問であるか。
絵としては美しく穏やかですが、レグルスの受けた拷問を想像すると非常に怖ろしい絵でもあります。
戦いはいつの時代でも人間を残酷にしてしまう。そしてキリストは人間の残酷な争いを止めるために神に遣わされた。だが人間はキリストの言葉を都合のいいように解釈している。
フェニキア文字を知るために歴史を調べたのですが、ポエニ戦争はいろいろなところに繋がって長くなりそうです。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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