ターナーの描いた『レグルス』
文字数 1,145文字
『カルタゴを建設するディド』もそうだったけど、ターナーという画家は人物を描くのはうまくないです。僕の生きた時代には人物を描くのがうまい画家がたくさんいます。この絵も主役のレグルスがどこにいるのか、さっぱりわかりません。
ターナーが生まれ育ったイギリスはスペイン以上に晴れの日が少なくていつもどんより曇っています。だからターナーがイギリスで描いた絵はほとんど曇り空です。でもイタリアに行って眩しい太陽を見て、夢中になって眩しい光の絵を描きました。
ターナーの絵に描かれたレグルスは、瞼を切り取られて暗い部屋に閉じ込められます。そして急に強い光の中に連れ出され、瞼を閉じることも手で目を覆うこともできないまま、目が強い光にさらされて失明してしまうのです。この絵はレグルスが見た最後の光で、光によって光を失う瞬間を描いた絵です。