異端審問で殺された家族

文字数 906文字

今日は新しく2000字家族小説に『異端審問で殺された家族』を投稿しました。作品のページには下の写真から入ってください。
あの話は正直フェリペに話していいかどうか迷った。
僕も驚きました。今まで亡霊たちから聞いた話は大変なことはあっても過去の歴史として聞いてられた、でも今回の話は僕が生きている時代の話でした。
それにしても君は歴史に詳しい、アラゴンの王フアン1世なんて私も知らなかった。
どうせ私はあんまり知られていませんよ。
でもよく知られている教皇とか王様の時代には、より悲惨なことも起きている気がします。
そして権力の中心にいる者ほど、自分が何をしているかわからなくなってくる。
キリスト教徒の残虐行為は昔からあった。十字軍などはその典型的な例である。だが、私達の時代は異端審問の活動が活発になり、戦争がなくても突然命を狙われることも多くなった。
酷い時代です。自分たちのミスを隠すとか、財産を奪うのが目的で罪のない人を殺し、ユダヤ人とかは改宗していても狙われました。
異教徒や異民族を狙って殺すということは今の時代でも行われています。
宗教改革でプロテスタントは教皇を頂点とした教会のシステムを批判しました。でもキリスト教徒が虐殺を行うということは止められず、ますます争いは激しくなってしまいました。
宗教は元々そういうものではなかった。余の父上の時代では教皇と協力し、教会を整えることがそのまま国づくりにもつながっていた。宗教と国の権力者との間でバランスがとれていた。
余の時代ではそのバランスはかなり崩れていた。「教皇は太陽、皇帝は月」と抜かす教皇がいて、その教皇に余は破門されてしまった。
宗教は教皇を頂点とする教会の仕組みによってどんどん権力を持つようになりました。その力を手放したくなくて、宗教改革が起これば弾圧し、僕たちユダヤ人のような異教徒を殺すことで権威を保ってきました。僕たちの時代、宗教は本当に狂っていました。そしてそれを正しく修正しようとした者が殺され、虐殺を勧める宗派が生き残りました。
確かにそうです。残酷になって殺している人ほど正しい人と思われ救い主になってしまう、おかしな世の中は現代でも続いています。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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